夏は外に出ないのでネタがなく、過去の記憶を掘り出して何か書きます。
高校1年くらいの頃の話です。時期は9月のはじめ。当時から私は夜型人間で週末は夜更かしして、部屋でごそごそ何かしているのが好きでした。その日も深夜までひとりで起きていたんです。当時の私の部屋は建物の中でも中庭に面したとても静かな位置にありました。
時計が午前2時頃をさしていた時です。静寂の窓の外から突然、声が聞こえました。
「・・・〇〇ちゃん・・・」
とてもか細い女性の声。誰かが私の名前を呼ぶのです。
「ん?」と思っていると再び、
「〇〇ちゃん・・」
と私の名。そして静寂。私は「?」と窓のほうを見ました。窓はすりガラスだったので外は見えませんが、カーテンは開けてありました。窓の向こうに誰かがいる気配がありました。誰かが立っている。誰だろう。
人間て奇妙なことに出くわした時、頭の中で何か合理的理由を見つけようとするんですよね。私はすぐ同年代の従姉のことを思い出しました。当時、近くに住んでいた従姉が時々前触れもなく、私の家にやってくることがあったのです。いつも玄関から入ってこず、私の部屋の窓を外からコンコン・・と叩いて来訪を知らせ、裏口から入ってきていたんですね。一瞬、彼女が来たのかと思いました。でもこんな夜中に??それもひとりで??って不思議に思い、私は
「あれ?△△ちゃん?△△ちゃんなん?」
と窓の向こうに尋ねました。
窓の向こうの誰かは沈黙しています。返事がない。
「確実に」誰かが「いる」。
でも従姉じゃない。
誰?
ちょっと不安な気持ちが自分の中で出始めました。私は反射的にサッとカーテンを閉めました。むくむく膨らむ不安な気持ちをこれ以上大きくしたくなくて、その後すぐに布団にもぐりこんで寝ました。なぜ親を起こしにいかなかったのか?とあとで思い出した時に考えましたが、おそらくその時はそこまで恐怖を感じてなかったのかもしれません。
翌朝、母に「夜中に誰かがきて私の名前を呼ばれた。」と話したら、「そんなバカな。寝ぼけてただけと違うん?」って言われて相手にされず。いやあ、寝ぼけてなかったけどなあ。でもそうだったのかなあ。あんなはっきりした夢ってあるん?とか言って。でもその翌日も翌々日の夜も何にもなくて、私自身も「やっぱり聞き間違い?」と思いかけていました。しかし、その翌週。
大阪から突然伯母が訪ねてきました。
「おばあちゃんが夢に出てきた。」というのです。
伯母にとっての祖母。つまり私にとっての曾祖母。私が3歳の時に亡くなっています。伯母がみた夢に曾祖母が現れ、とても哀しそうな顔で「今年はなぜ来てくれなかったの。待っていたのに・・。」と訴えてきたと。伯母は毎年、お盆に里帰りしてきてたのですが、その年の夏は仕事が忙しくてお盆休みが取れず、帰省してなかったんですね。夢をみた直後、「おばあちゃん、ごめん!」って思って、すぐに休みをとってお墓参りに来たと。
伯母がその夢をみた日と私が名前を呼ぶ声を聞いた日は接近していました。あとで仏壇のところで調べたら、曾祖母の命日が9月のはじめだったことを知りました。そういえば私の人生の一番古い記憶は曾祖母の膝の上に抱かれて童謡を歌ってもらっていた姿。曾祖母の歌声と膝の上からみていた曾祖母のつま先。長女だった私はとても可愛がられていたみたいです。「あれはひいおばあちゃんだったんだ・・。」って自分なりに納得しました。怖がってごめんよぅ。ってあとで謝りました。
私は死後の世界て半信半疑で、あまり信じてないのですが、こういうのがあると、アナザーワールドの存在ってあるのかな?って思ったりします。死後にどこか遠くの別のところに行くのではなくて天外伺朗さん的な「この世とあの世は平行して存在する」みたいな感じ。パラレルワールドでしたか💦