18本目

 

原題:The Putin Itereviews

監督:オリバー・ストーン

 

映画監督オリバー・ストーンは、約2年以上にわたり、現ロシア連邦第4代大統領ウラジーミル・プーチンに、いくつものインタビューを重ねた。インタビューには、テーマもリミットもない。プーチンのプライベートな部分、政治家としての部分、共産主義の下で過ごした幼少期から権力を握るまでにのぼりつめた現在まで。また、彼が築いてきた米大統領との関係性など、様々な事柄について語りつくされている。ストーンは、アメリカがプーチンを敵視する中、アメリカ人インタビュアーとして、あらゆる出来事に対するロシア及びプーチンの考えの真相を徹底的に追求している。全4回で構成された"平和と善意"を求める濃密なドキュメンタリー。~ネットより引用~

 

2017年アメリカ。ロシアのウクライナ侵攻以来、アメリカでは再度この作品に注目が集まっているそうです。このインタビューではプーチンが世界(欧州、中東、アメリカ)をどうみているのかがよくわかりました。ウクライナ侵攻は決して肯定できるものではないですが、ロシアという国、プーチン大統領の人となりについて、日々のニュースソースからとは違う視点からみれる大変興味深いドキュメンタリーでした。

 

インタビュー中、プーチンはどんな質問にも当意即妙に切り返し、その内容は一貫して端的で無駄がありません。深い歴史的教養に裏打ちされた人間理解と洞察力も印象的です。言葉の端々からはとても緻密な思考が伺え、本当に頭の切れる人物なのだということが伝わります。かつ、とても慎重。相手に言質を与えるようなことは言わないし、ぽろっと感情的になるような態度も見せないんです。「その自制心、感情のコントロール力は何から来ているのか」とストーン監督から聞かれて「十代の初めから接してきた柔道の影響」と答えていました。それに加えてあの凄み。


ストーン監督は回を重ねるごとに結構突っ込んだ質問したりしてて、相手にぐいぐい入り込んでいきます。インタビューが進む中でプーチンの父親としての素顔が垣間見れたり、両親の話など家庭人な側面も観れたりしました。意外とユーモアもあって笑顔も見せて人間的な部分もあると思わせて。そして何より愛国心を前面に出してます。政治家としては完璧なプレゼンテーションでした。

 

プーチンがいうには第一次世界大戦でも第二次世界大戦でもロシア(ソ連)は米国と同盟だった。冷戦が終わり、ソ連もワルシャワ条約機構も消滅し、存在意義が見いだせなくなったNATOは自らの存在を正当化するために常に外敵を探している。(そのターゲットがロシア?) NATOは米国の外交道具であり、米国にあるのは同盟国ではなく属国だけである、と。米国の社会問題を深く掘り下げる作品を撮り続けてきたストーン監督にはプーチンへの共感もあるように思えたんですが、撮影は5年前。現在の世界情勢を前にして今なら二人はどんなことを話すのだろうって思います。