14本目。

 

 

原題:House of Gucci

監督:リドリー・スコット

キャスト:レディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジャレット・レトー、ジェレミー・アイアンズ

 

貧しい家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニは、イタリアで最も裕福で格式高いグッチ家の後継者の一人であるマウリツィオ・グッチをその知性と美貌で魅了し、やがて結婚する。しかし、次第に彼女は一族の権力争いまで操り、強大なファッションブランドを支配しようとする。順風満帆だったふたりの結婚生活に陰りが見え始めた時、パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始める…。(Filmarksより抜粋)

 

2022年アメリカ映画。この映画も本当は映画館で観たいと思っていた作品。グッチ家のお家騒動と凋落をみて、家族経営の中でハイブランドという看板を世代を超えて継がせることの困難さを思いました。トム・フォードがグッチのデザイナーに採用された経緯も興味深かったです。グッチのブランドは90年頃までは古臭いイメージでした、確かに。90年代半ばくらいにガラッと刷新されて別物のブランドになった印象があります。この映画をみて、それはお家騒動を経てブランドの経営がグッチ家からプロの手に渡った頃だったことを知りました。レディー・ガガがすごく演技が上手でした。無教養で、セクシーで、野心まんまんの本人になり切ってました。グッチ家の不幸は後継者が凡庸だったことと、あまりにも背景の違う者同士の結婚が引き金になったように見えました。

 

またこの映画の時代は日本経済のバブル前夜。グッチからも日本人顧客が特別視されていたのが印象深く、昔日の感を覚えてしまいました。今ならそのターゲットは日本以外のアジアでしょう。創業者の孫であったマウリツィオは前妻(パトリツィア)の陰謀で殺され、同じく孫でマウリツィオの従弟にあたるパオロ・グッチはその後、貧困の中で亡くなったと知りました。現在のグッチにはグッチ家の人間はひとりもいないそうです。普通の家に生まれていたら平凡に幸せだったかもしれない人たちだと思います。運命の残酷さと栄枯盛衰を思わずにいられませんでした。金や権力はそれ相応の器の人物が手にすれば良いけれど、そうじゃないと悲劇しか生まないようにも思えました。

 

長尺な割には退屈と感じることなく最後まで鑑賞できました。リドリー・スコット監督の映画はやっぱり面白かった!