5本目。
監督:市川崑
キャスト:石坂浩二、高峰三枝子、あおい輝彦、島田陽子、坂口良子、etc.
旧家の名士犬神佐兵衛の遺言状が公開されるが、莫大な遺産の相続者は佐兵衛の恩師の孫娘である野々宮珠世と結婚した者と記されていた。佐兵衛の孫にあたる3人の男はそれぞれ珠世を我が物にしようと企むのだが、やがてそれは連続殺人事件へと発展していく……。~Yahoo映画~
1976年日本映画。角川映画第一作目であり、大変有名で金田一耕助のシリーズって人気だったと思うのですが、その後のリメイクも含め、これまで観たことがありませんでした。一度は観ておこうということでアマプラで鑑賞。感想をひとことでいうと、とにかく「強烈なインパクト」作品。昭和らしいストレートな演出、忘れられない恐怖場面がいっぱいありました。
時代設定は昭和20年代前半。舞台は地方の旧家。テーマは復讐劇。これだけで空気の重たさが伝わるでしょう。長男のマスク姿や生首菊人形、湖から突き出た死体の脚・・こんな演出よく考えたなあ!と。あの脚が逆さになった場面は映画ポスターにもなって、当時の日本ではブームになったそうです。あんな気持ち悪いポスターを部屋に飾る人がいたのか?? えぐいもの、醜いものをそっ・・とオブラートに包んで隠す平成、令和の時代とは明らかに違う異質感。昭和の時代はそういうところがあったと思います。
2時間半の長尺にしては飽きることなく集中できました。二回も観ようとは思わないですが面白かったです。あとで知ったのですが、金田一さんが宿泊している旅館の主人役は原作者の溝口正史さんのカメオ出演だったのです。あの無学な老人役を?と驚きでした。この作品が数十年後にリメイクされた時には三谷幸喜さんがその宿屋の主人役をされているのですね。また刑事役のひとりを角川春樹さんが演じてます。映画自体は重い息苦しい内容ながらこういうところユーモアがあって面白いなと思いました。
あと撮影に使われている建物がどれも戦前の建築なのでしょう(大正あたり?)、外観、内装ともに美しい意匠が大変魅力的で、目が離せませんでした。ロケ地を調べたら犬神家のお屋敷は岡山県・児島にある旧家、金田一さんが宿泊していた旅館は長野県にある旅館(いまも営業)とのこと。今後この辺に旅することがあったらぜひ旅程に組み込んで訪れたいと思いました。