2本目。

 

 

原題:Super Size Me 2: Holy Chicken!

監督:モーガン・スパーロック

 

2017年アメリカ映画。前作では1日3食をマクドナルドのファーストフードにしたら人体にどんな影響があるのか?ということを自ら身体をはって検証していました。極端な例ではあったけれどもファーストフードがここまで健康に悪影響を与えるのかとショックを受けながらも納得した内容でした。今回は監督自らが養鶏業にかかわり、ファーストフード店を開業することで、その内側を明らかにしていくという内容でした。

 

アメリカのファーストフード業界も消費者の健康志向に合わせて、PRの仕方や包装、メニュー構成などを「より健康的で安全に見せる」戦略をとっています。食材の生産者のプロフィールを紹介したり、茶色や緑色の紙の包装やラベルを使ったり、メニューにサラダを採用したり。でも実際の中身は昔と全く変わってないという。「クリスピー〇〇」という商品名も昔は「フライド〇〇」。全く同じもの。黒色のグリル跡は「ヘルシーに見せる」ために、チャコールや着色料で人工的につけていたりする。

 

監督自らが養鶏業の中に入っていくのですが、こちらのほうが驚くことが多くありました。例えば「放し飼い」の定義の曖昧さ。実際の鶏たちは、私が想像していた牧歌的なストレスフリーの環境・・とは全く違うところにいました。「ホルモン剤不使用で育てた鶏」についても、現代の鶏は品種改良の結果、非常に成長が速いのですね。ひよこが2か月後には2.7kgもの大きさに成長して出荷されるんです。これ、人間の赤ちゃんに例えると生まれて2か月で300kgの体重になるのに等しいのだそうです。なので鶏も肥満のために心臓発作で突然死したり、細菌に感染したり、骨がもろくなったりするそうなんですが、食用的には全く問題ないので、「順調に育っている」とみなされるのだそう。

 

じゃあ生産者(養鶏業者)が悪なのかというと、彼らもまたアメリカの大きなシステムの中では「搾取される」立場に置かれていて、借金をいっぱい抱えて酷い状況なんです。声をあげたりすると仕事や補助金が削減されてしまうらしい。彼らを支配する大企業は消費者や生産者を守るよりも、株主利益を最大化するための行動を選択するわけです。行き過ぎた資本主義の怖さを前になんとも暗澹たる想いでした。

 

日本でも時間差や程度の差はあるけれど状況は同じなのかもしれません。資本主義社会に生きる我々として何ができるのか。せめて自らを守るために消費者としてもっと賢くならねばと思いました。企業の良さげなPRにのせられず、何事にも本質を見ることが肝要かと。