昨夜はこの本を読みました。

日本のコロナ死者が他国に比べて少なく、それについて海外から問い合わせがあった時に麻生財務大臣が「日本は国民の民度のレベルが違う」と答えた、ということはかなり話題になりました。著者の一人、鴻上さんによると麻生さんのいう「民度」は「同調圧力」のことであると。

 

日本人の間にある同調圧力・・今回のコロナ禍でかなり表面化しました。感染者やその家族に対する嫌がらせなどその最たるものでしたが、こうした感覚はずっと以前からあり、日本人の言動を拘束してきました。「みんなと一緒」の価値観は安心感という側面もある反面、閉塞感、息苦しさの源泉でもあります。

 

同調圧力、世間、忖度、自粛、空気(を読む)・・これらの日本語の定義にぴったり当てはまる英語訳はないそうです。英語訳がないということは、英語圏には上記のような概念がないということです。肩にずしっと重たい世間の空気とか絶えず周囲に見られている感覚など日本独特のものだと思います。

 

この本では日本人の間にある独特の空気の正体について説明がされています。いまの時代の息苦しさ、不安感を作っているものは何か?というその正体がわかるだけでも随分気持ちが楽になるというか、すっきりした気持ちになります。(正体や理由がわからないものって余計に不安感を増幅するような気がするからです。)著者の分析は大変興味深く、ああなるほど、と膝を打つ感覚になることが多々ありました。鴻上さんは以前から空気を読まずに「それっておかしい!」とはっきり仰る方だと思っていました。彼のような存在は閉塞感でいっぱいになった空間に風穴を開けてくれるような感じがします。そして、自分自身も違和感を覚える事柄に対して、はっきりと「それは違う」と言える人間でありたいと思いました。