昨夜はYou Tubeで1989年のルーマニア革命の映像を観ました。この年、ソ連の対東欧政策の変更を受けて、東欧では次々とドミノ倒し的に共産党政権が崩壊しました。東欧諸国の中でその動きから取り残され、頑強に共産党政権を維持するかのように見えていたルーマニアでもっとも劇的な政権の崩壊が起こりました。

民衆に対し、自身の力を証明するためにブカレストで大規模な集会を開いたチャウシェスク大統領。手前にはサクラのように拍手する群衆がいます。しかし、演説が始まったあたりから、群衆の態度に変化が起こります。動画では1分20秒くらいのところですが、急に沈黙し、目の前で起こっていることが信じられないという様相で大統領の表情が凍り付きます。ひとつの政権が崩れ落ちる瞬間でした。

この3日後に大統領夫妻は処刑され、クリスマスの日、死体の映像が世界中に流されました。私自身もこの衝撃的な映像を覚えていました。日本ではバブル経済が最高潮に達していた頃。自身がリアルタイムで目にし耳にしたことが「歴史」になっているのだなと改めて思いました。

いまこの本を読んでいます。すごく面白くて毎晩夜更かししています。


今回知ったのは、このバルコニーに立つ人々から滑り落ちた権力は広場にいた一般大衆にわたることはなかったということです。それを受け継いだのは民主的な政治家という看板を掲げた救国戦線評議会の同志たちでした。つまり共産党の穏健派。権力にはしっかりとした組織が必要であり、舞台裏で肝心な人たちと手を結んだり、国家を運営する柔軟な力が必要であるということ。民主化に伴いこの国では国有資産や政府企業は安値で元共産党員たちに払い下げられ、彼らだけが私腹を肥やし、命を危険にさらした一般大衆は殆ど何も手にすることがなかったそうです。革命の遂行には人数と熱狂だけでは不十分だということなのですね。ショボーン