13〜14本目。

原題:DER STAAT GEGEN FRITZ BAUER(THE PEOPLE VS. FRITZ BAUER)
監督:ラース・クラウメ
キャスト:ブルクハルト・クラウスナー、ロナルト・ツェアフェルト
1950年代後半、西ドイツのフランクフルト。経済復興が進む一方、戦争の記憶が風化しようとしていく中、ナチス戦犯の告発に執念を燃やしていた検事長のフリッツ・バウアー。ある日、彼にもとにアイヒマンが偽名でアルゼンチンに潜伏しているとの密告状が届く。さっそく部下のカール検事とともに、証拠固めと潜伏場所の特定に奔走するが、周囲にはナチスの残党が目を光らせており、激しい妨害や圧力にさらされる。そこで国家反逆罪に問われかねない危険を冒し、極秘情報とともにモサドへの接触を図るバウアーだったが…。〜All Cinema~
2017年ドイツ映画。見応えたっぷりの作品でした。ナチ親衛隊幹部で戦後アルゼンチンに潜伏していたアドルフ・アイヒマンは1960年にイスラエル・モサドに拘束され翌年エルサレムで裁判、1962年に絞首刑になりました。アイヒマン追跡、逮捕に大きく貢献したユダヤ系ドイツ人検事フリッツ・バウアーについての映画です。
戦後は経済復興に邁進し、歴史と向き合うことを避けてきた日本と違って、過去を直視し、未来を考えてきたのがドイツだと思っていました。実際のところは、日本と同じく?みんなして忘れてしまいたい、それより復興をいう空気が強かったみたいです。「それではダメだ、また過ちを犯さないようにちゃんと過去の事実を直視すべき!」と奮闘した人たちがいた、ということを今回の映画を観て初めて知りました。
執念で犯人を捜し出して逮捕しようとする主役のユダヤ系検事さん。頑固もので無骨で鬼の検事といった風貌、日本のドラマにもありそうな人物です。戦後社会の上層部にはナチの残党が各所にいて、彼の捜査を妨害しようとするのですね。だからアイヒマンの逮捕も昔の(ナチ)仲間を守ろうとする残党からの邪魔でなかなかできなかった。戦後の日本も東京裁判で罰された人たちは一部でうまく逃げおおせた人たちはその後、政界や経済界で要職についていたりしました。ドイツでも同じことだったのかと。
バウアー検事としては本当はアイヒマンをドイツで裁判にかけたかった。でもナチ残党がそれを邪魔する。動いてくれない。ドイツの捜査当局はあてにならないからイスラエルのモサドに協力を要請する。それで逮捕までこぎつけたけれど、彼の努力がなかったらアイヒマンも南米で寿命まで逃げ切っていたかもしれない・・。戦犯逮捕にバウアー検事の貢献があったことさえ彼の死後10年は隠されていたそうです。こういう人がいたことが長い目でみて戦後ドイツの歴史には大きなプラスになったのかと思います。過去と向き合うことは痛みを伴います。でもその国の将来を考えるととても大事なことなのだと改めて思いました。社会派作品に興味ある方にはぜひお薦めしたい作品です。






原題:BECOMING WARREN BUFFETT
監督:ピーター・クンハート
2017年アメリカ映画。大富豪ウォーレン・バフェット氏のドキュメンタリー。その資産700憶ドル?もっと?世界トップクラスの富豪でありながら、私生活の簡素さに驚きました。生まれ故郷のネブラスカ州オマハにオフィスを構え、ごくごく一般的な普通の家に暮らしてみえるのです。3ドル前後の朝マック、コーラが大好きというところもなんだかご愛嬌で。倹約家だけれども慈善事業にも惜しみなく寄付しているところも。NYでなくオマハに住んでいるのもここでは人間同士の関わりがあるから、と。とても人間的な感じがしました。成功哲学というよりはこの方の人間的な側面を知るような内容でした。