
桜並木の川沿いに建つカフェを巡る11の短編。
本屋さんで何気なく手にとってみた一冊です。
それぞれのストーリーが人物たちの知らぬところで
関連していて・・・私たちが生きている世界は
こうやって互いに影響を与えないながら
展開していくのかもしれません。
いくつかの物語では私もかつて長年暮していた
オーストラリアのシドニーが舞台として出てきます。
目に痛い程鮮やかな木々の緑、太陽の光、
海から吹いてくる爽やかな風とか、過去の記憶が
蘇ってくるようでした。
ほんわかするようなハッピーエンドです。
読み終わる頃には温かで優しい気持ちになれました。(*^-^*)
著者は昨年ヒットしたドラマ「あなそれ」の原作者。
プロフィールを拝見したら私と同世代、
それにおそらく同じ時期にシドニーで働いていたと思います。
狭い日本人社会、きっと共通の知り合いもいただろうかと。
普段読む本とは毛色の違う本だったので
アマゾンで検索していても多分出会うことはなかった本です。
やっぱりリアル書店に行くことは大切と感じました。

たけしさんが初めて書いた恋愛小説だということで
こちらも書店で購入し、一気に読んでしまいました。
小説家がよく使うややこしい文学的な表現があまりなくて読みやすい。
携帯番号やSNSが連絡手段に登場せず、互いの約束だけを頼りに
デートの約束をして、、というストーリーです。
主人公はたけしさんご本人を投影しているのか
純粋で不器用で優しくて、お母さんのことをとても大切にしていて。
携帯がなかった時代の他人の体温を身近に感じるような
他者とのかかわりの中に人間くささがいっぱいあった感覚が思い出されました。
今の時代は便利になった反面、人間関係がとても希薄になり、
誰もがとても過敏になっていて、
相手のテリトリーに決して深く入り込まないよう
皆と当たり障りない関係を築いて
神経を使って疲れて・・というふうに感じています。(*''ω''*)
そういう風潮に疑問を投げかける一冊なのかもしれません。
あと・・・ネタバレになってしまいそうですが、この作品を読んでいるうち
「めぐり逢い」という昔のアメリカ映画を思い出しました。
デボラ・カーとゲーリー・グラントが主演した純愛ものです。
映画人のたけしさんはもしかしてこの作品を下敷きにされたのかな?とか
そんなことも想像しました。

佐藤優さんの本に現代の人の価値観がそのまま描かれている
漫画と書いてあったので読んでみました。
そういう視点でみればなるほどという感じです。
でも彼女たちがあまりにも軽い感じがするのは
世代?時代?価値観の違いなのかな。(*´ω`*)

左側、マックス・ウエーバーの「職業としての政治」をテキストにした対談本です。
ウエーバーの本は難しいと感じていました。
それは書かれた時代背景が現代のそれとは異なることや
私自身の知識の少なさがあったと思います。
佐藤さんの解説はとてもわかりやすくウエーバーの理論も
頭に入ってきました。(^-^;
ウエーバーの本からの引用ですが印象に残ったテキスト:
~自分が世間に対して捧げようとするものに比べて現実の世の中が
どんなに愚かであり卑俗であっても断じて挫けない人間。
どんな事態に直面しても「それにも拘わらず!」と言い切る自信のある人間。
そういう人間だけが政治への天職を持つ~。
~政治の要諦とは目測~ひとめでどれくらいの距離があるかということを
測る力であり、ウエーバーを一番体得していた政治家は中曽根康弘さんだった~。

読みながら貼っていった付箋が多すぎて
まとめきれませんが、面白かったです。
日本への観光客が増えたと言われていますがそれでも年間1300万人。
フランスは人口6600万に対して年間8500万人、
スペインは4600万に対し、6千万人、イタリアも6千万に対し4800万人もの
観光客がやってくるそうです。
日本は観光立国の条件である気候、自然、文化、食事の全てが揃った珍しい国で
今考えられている以上のポテンシャルを持っていると。
日本人がアピールしたがる「おもてなし」、「治安の良さ」、「気配り」などは
行き先を決める決定的要因にはならず、焦点がずれているということ、
ゆるきゃらや世界遺産の認定だけでお客さんが増えるだろうという甘い認識、
観光客にお金を落としてもらえるようなシステムが確立されていないことなど
今後観光立国を目指す上で日本に足りない箇所など
いちいち納得できることが多かったです。(^-^;
共感したのはこの著者が美しい景観が見れると言われて訪れた
日本の有名観光地、実のところ「え、これだけ?」とがっかりしたという箇所。
ヨーロッパの街並を歩いた時の感動を基準にして
日本に来るとがっかりするんだと思います。
京都でさえ昔の街並が残っているところはわずかで
街全体が雑然としていて、統一感がありません。
アナリストという職業柄、いろんな側面から冷静にバッサリと斬ってあるところ、
外国人だからこその視点、はっと気づかされること多く、興味深く読みました。
今月はあとこれだけ。
