昨日、9巻目を読み終えました。
これでおしまいです。

全編を通して読んでみてようやく日本がたどった昭和の戦争の
経緯を把握できた感じです。

最終巻では昭和20年8月15日のポツダム宣言受諾、
それに続く東京裁判の経緯、
そして満州国の崩壊とソ連による強制連行。

巻を追うごとに深まっていく大本営の迷走、
最初から最後まで重苦しく惨憺としたまさに歴史の暗部を
ずっと凝視してきたようなここ数カ月間でした。

知らなかったことがたくさんありました。
8月15日の玉音放送の直前に軍部でのクーデター未遂があったということ、
その前後に多くの司令官らが自決していったこと、
満州国に居住していた人々のたどった悲劇とか。

東京裁判が報復裁判と揶揄されても当然と思えるほどの一方的な裁判の経緯には
「歴史というのはこうやって造られていくのか」
と感じる場面もたびたび。
その虚偽を見るに耐えず抜けていくアメリカ人の弁護人らも多かったようです。

東条英機をはじめとする二十数人をA級戦犯と呼ぶならば
そもそも最初にこの戦争を仕組んだルーズベルトやチャーチルは
更にその上をいく「S級戦犯」ではないでしょうか。
スターリンに至っては非人道的という言葉でも言い尽くせないほどでは。

確か第一巻目の感想を書いた日は去年の12月8日、真珠湾攻撃の日でした。
偶然にも今日、3月10日は65年前の東京大空襲があった日です。
これを一回読んだら、本当にあんな悲劇を二度と起こしてはいけないと
思わずにはいられない。
ありきたりだけれどもそう思った作品でした。