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最近、選んでいるわけではないのだけれど
戦争をテーマにした映画を続けて観てます。

この週末に観た映画は昭和20年の春、
終戦の色合いが濃くなりつつあった頃の
鹿児島が舞台です。

主人公の悦子にある日、
見合い話がもちかけられます。
兄の後輩である明石少尉の親友、
永与少尉という人でした。

ただ悦子は秘かに明石少尉のことを想い、
明石少尉もまた悦子のことを想っているのだけれど
自分は特攻に志願するため、
親友の永与少尉に彼女のことを託して
戦場に出て行ってしまう・・という物語です。

「銃後」の生活を淡々と描いた作品で
先週観た「父親達の星条旗」のような
戦闘場面は全く出てきません。

それでも戦争を体験した人々の辛さと
哀しみを強く感じた作品でした。

悦子の家の庭に咲く桜の花は明石少尉のことを
象徴していたのでしょうか。
桜が満開の頃、彼は出撃し、戦死してしまいます。
残された者の哀しみと
家族を、親友を、愛する人を互いに思う心遣いが
ひしひしと伝わってきました。

出撃前の夜、明石少尉は
悦子の家に最後の挨拶に来ます。
最後の最後まで自分の気持ちを
相手に伝えることができなかった悦子の
心の内は張り裂けんばかりだったのでしょう。

私なら、あそこで追いかけて
「行かないで!」って言っちゃうかもしれない。

明石少尉の戦死を伝えるために
悦子の家にやってきた永与少尉の
「彼の分まで生きなければいけない」という
言葉が強く心に響きました。

この映画は同名戯曲が原作で、
原作者のお母さんがモデルだということです。

慌しい場面や
大きな盛り上がりも殆どありません。
ひとつひとつの場面がとても
丁寧でゆったりとしていて、
それだけにストーリーの中の
一瞬一瞬がとても愛しく大切な
ものであるように思えました。

主人公の悦子は原田知世、
明石少尉を松岡俊介、
明石の親友永与少尉を永瀬正敏、
悦子の兄を小林薫、
その妻を本上まなみが演じていますが
皆、素晴らしい演技でした。

映画のタイトルからして原田知世さんは
おそらく20代前半か半ばの女性を演じて
おられたのだと思いますが
全く違和感がなく、清純なイメージは
そのままでした。