ガイドさんと行動していて不思議なことがひとつありました。
一緒にジャングルの中を歩いていると、
ガイドさんが、ふと、
「あ、あともう少し歩いたら動物と遭遇するよ、多分鹿だね」
などと言うのです。

そうしたら数分後、本当に野生の鹿が目の前に現れました。
それも奈良の東大寺にいるようなバンビみたいな鹿ではなく、
気を付けていないとこちらが踏み倒されてしまいそうな子馬くらいの大鹿でした(°O°)。
その後もガイドさんはこの先に出会う動物のことを次々と当ててしまうのです。
初日はこれが不思議で不思議でたまりませんでした。

ジャングルで滞在が数日経った時、自分の中である変化に気がつきました。
都会の喧騒から離れ、テレビもラジオもない場所に身を置いているうち、
私の中の五感が次第に次第に鋭敏になっていくのが感じられたのです。

それまで聞こえなかった音が聞こえ、
感じることがなかった匂いがわかるような・・・
自分の中に眠っていた五感が冴え冴えしてくるのを感じました。

動物に近づいた時、動物独得の匂いが湿った空気に乗って
ふわりふわりと漂ってくるのがわかるようになりました。
散歩していて、「あ、そろそろ出るかな?」と思って数分後、
本当に動物に行き当たった時などは嬉しくなりました。

私が滞在していたタマンヌガラの気温は昼間は35度前後でした。
普通、35度で高湿度の環境ってどうしても快適とは思えませんよね。
でも大自然の中の35度って意外にも居心地が良いのです。

ジャングルの中は木や蔓やいろんな植物が生い茂り
上を見上げても空は葉っぱでぎっしり覆い尽くされています。
だから肌をジリジリと灼くような直射日光も遮られています。

あちこち動き回ると汗をかいてしまって疲れるけど、
植物に囲まれた中で何もせずじーーっと動かずにいるのって
妙に気持ちが良いのです。
高い湿度さえ、それが快適なものに思えてくるのが不思議でした。
数え切れないほどの動物や虫達がそこに住んでいるのもわかる気がしました。

早朝の朝靄に包まれた河、
無数の虫や鳥の鳴き声に包まれて見上げた星空、
一日のどの場面も新鮮なものでした。

最初は二泊三日程度で帰ろうと思っていたのだけれど、
居心地が良くて結局一週間くらい滞在してしまいました。
滞在中はホテルに宿泊している他のお客さん達と山登りをしたり、
ボートをチャーターして先住民の村を訪ねたり、
キャノピーウォークを歩いてみたり、滝つぼで水泳したり・・
毎日あれこれ楽しんできました。

思い出したくないのはヒルに血を吸われてしまったことくらいかしら。
あ、あと目の前にドサっと落ちてきた大きなクモとか(>_<)。
あれも怖かったなあ。何はともあれ無事に帰れてよかったです。(^o^)