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暫く前に観た映画です。
副題は「クマインカナバー」、
タガログ語で「ご飯食べた?」(ご飯食べますか?だったかな)
という意味だそうです。

大地康雄さん主演でフィリピンを舞台にした
純朴で美しいフィリピン女性との愛の物語です。

年老いた両親と農業を営む正男(大地康雄)は
気が優しくていい人なのに45歳になっても
お嫁さんが来ない。
農家が抱える現実なのですね。

その後、フィリピンパブで知り合った女性と結婚するため
結納金200万円を持ってフィリピンに行くのだけど
結局、相手の家族まるごとからそのお金を騙し取られてしまいます。

日本ではお見合いに断り続けられ、
フィリピンでは結婚詐欺に遭い、
心底傷ついた正男の心は、もともと純粋な人だっただけに
どんどん荒んでいってしまう。

そんな時に出逢ったのが、若く美しいフィリピン人女性。
彼女と農業を営む彼女の家族との交流を通して、
忘れかけていた暖かい思いやりに満ちた人間同士のつながりの大切さ、
他人を大切に思う気持ちを取り戻していく・・というストーリーです。

最後は感動的なハッピーエンドで、涙ぽろぽろしている時に
劇場内が明るくなるので、これがまた困ったものなのですが
本当にいい映画でした。

日本の農業レベルの高さを再認識した一方で
後継者がいない厳しい農家の現実を目の当たりにした作品でした。

最近は健康意識の高まりからスーパーマーケットで
買い物をしていると国産野菜には
殆ど「○○県産」と書いてあります。
輸入野菜に比べれば値段は高いけれど、
○○県産野菜を買う理由はやっぱり
「安心して食べられるから」でしょう。

でもその「安心な食べ物」を作っている農家の現実は
余りにも過酷で、厳しいもの。
だから若い人は農業をやりたがらない。
日本の食料自給率をネットで調べてみたら
先進国で最低の40%しかないということがわかりました。
農業国のフランスなんか130%もある。
アメリカ119%、ドイツ91%、イギリス74%という数字でした。

食べ物は人間が生活していく上で一番大切なものなのに
それを作る人がいない、輸入モノに頼らなければならない
という日本の現状には危機感みたいなのを覚えてしまいました。

そんなことを言いながらじゃあ自分で農業ができるか?と聞かれたら
きっとそれはできない、無責任ながら、やっぱり
厳しい生活はゴメンです、というのが本音なんですね。

だから大変複雑な思いにとらわれた映画でもありました。

主演の大地康雄さんは企画、脚本、製作総指揮も兼ねていらっしゃる。
この作品への思い入れの強さを感じ、
私自身も改めて日本の農業について色々と考える機会のあった映画でした。