先週、ビデオで「学校」の映画を見ました。
10年以上前の作品で監督が山田洋次、
西田敏行が夜間中学の教師、
竹下景子が同僚の教師という配役でした。

夜間中学校という、色々な理由で
義務教育を終えることができなかった
人達が通う場所を舞台にした作品でした。
世の中の隅っこに生きている人達が
それでも一生懸命学ぼうとしている姿、
それを一生懸命支えて励ます教師達の話でした。

これは実話を元にした話なのだそうです。
なぜこの映画を観たかというと
先日、義足のランナー島袋さんの講演を企画された
知り合いの方が今月はこの「学校」で西田敏行が演じた
教師のモデルになった方を招待して地元で講演会をされるという
ことを知らせてくれ、
「時間の都合があえば是非聴きにいらっしゃいよ」と
声をかけて下さったからなのです。

私も講演会に出席するつもりでビデオを借りてきたのですが
結局その週も忙しくて、ビデオは観ることができず
仕事の疲れから風邪をひいてしまい講演会は出席できませんでした。

教師の本来の使命というのは
漢字の読み方や、英語の文法、方程式の解き方を
教えること以上に、
人間としてどんなふうに生きていくべきなのか
そうしたことを教え、生徒が人生の方向付けをするのを
手伝って、支えてあげるということなのだろうということを
改めて思いました。

様々な問題を抱えながら学校に通う生徒達の中で
一番クローズアップされていた田中邦衛が演じた
イノさんは実在の方だったそうです。
不幸な生い立ちで田舎から東京に出てきて
ボロボロのアパートに住みながら、一生懸命働いて
いるけど、普通の日本語の文字さえまともに書けない。

夜間中学校に通って一生懸命勉強して
頑張っている最中に病気になってしまい、
最後は田舎に帰って亡くなってしまう。
彼が故郷に戻る頃には病気の進行で弱り果てて
身体を自由に動かすことさえできなくなっているの。
東京を去る車の中で横たわり、
自分がずっと暮らしてきた東京の
高層ビル群を眺めるシーンが映し出された時、
彼はどんな想いであの風景を眺めていたのだろうか、
そんなことを思いました。
大都会は彼のような立場の人間には決して優しくなかっただろうけれど
それでも彼なりに必死で働いて、生き抜いてきた場所だったから。