今週は月曜日、火曜日と続けてとても
素晴らしい方々との出会いがありました。

昨日は島袋勉さんという方の講演会が地元でありました。
この方は数年前に電車の踏み切り事故で膝から下の両足を
切断し、頭部挫創で記憶障害を負うという不運に見舞われながらも
その困難を乗り越えて、なんと義足でフルマラソンを何度も
完走してしまったという凄い人です。
以前、「アンビリーバボー」というテレビ番組にも
取り上げられたことがあるそうです。
http://www.mctv.ne.jp/~legato/yousin/yousinno_kai-29.htm

去年、島袋さんはオーストラリアのゴールドコーストで開催された
マラソンに出場され、それが現地の新聞にも大きくそれが取り上げられました。
私は、たまたま今回の講演会の主催者の方と知り合いで
その方から新聞記事の翻訳を依頼され、それをきっかけに
今回島袋さんとお会いすることができました。

講演会には仕事の都合で間に合わなかったのですが
その後での関係者での食事会に同席させていただき、
島袋さんの妹さんとも一緒に居酒屋のテーブルを囲んで
真夜中まで色々お話することができました。

話をしていて、本当に私には真似できないなと思ったのは
彼が両足を失くしてしまった状態にありながら、それでも
とても明るくて、驚くほどプラス思考をされる方だということでした。

島袋さんはこんな境遇にあっても
「命が助かって良かった」
足を切断したといっても
「膝から下の切断だけで良かった、太腿から切断じゃなくて良かった」
そんなふうに考えられる人。
そして事故に遭ってしまったが故に、こうした姿で
講演をして、たくさんの人に希望を与えることが
できるようになった、それが良かったと思う、とそんな
ふうに話をしてくれました。

もし、私が同じ目に遭ったら、きっと自暴自棄になって
自殺しちゃうかもしれない。
でも彼が言うには
「誰かの同情を買いたいなら別だけれど、
死ぬことでプラスになることなんて何もない」と言い切っていました。

障害を持ったことで、何かができなくなったことを
嘆くよりも、今の状態で何ができるか、人に何をしてあげられるか
そんなふうに彼は考えるそうです。

私は最初、もっと近寄り難い雰囲気の人かなと思っていたのだけれど
すごく普通で自然体な感じの方でした。明るいし。
お兄さんの苦しかった時期を一緒に過ごしてきた妹さんの栗田さんも
とても明るくて強くて本当に素敵な方で、
居酒屋では隣の席でずっと色々な話を聞かせてもらいました。

ゴールドコーストでの新聞には42.195キロを松葉杖を使いながらも
8時間近くかけて走り続ける、島袋さんの写真が一面に大きく掲載され、
表題には「Last Man Standing」と書かれていました。
翻訳をした時、このタイトルは10年程前に、ブルース・ウィルスが主演した
映画のタイトルと同一であることにすぐ気付きました。
そしてあの映画は黒澤明の「用心棒」のリメイク版であったことも思い出しました。
映画のテーマは「強い男」。

現地の新聞は義足ながらマラソンを完走し
そして最後にゴールインした選手ということから
Last manという言葉を掛け合わせ、賞賛の意味を込めてこの
タイトルを付けたのではないかと思う、という私の勝手な解釈を
皆の前で話したら、なるほど~と喜んでもらえました。

島袋さんは「義足のランナー」という本を妹さんと共著で出版していらしゃいます。
今、読みかけているのですが、読み出すとぐんぐんと引き込まれてしまう内容です。
昨日、実際お会いして話した方々だから内容が余計にリアルに私の中に響いてきます。

昨夜は帰宅が午前様になってしまい、睡眠時間が4時間くらいしか
とれなかったけれど、今日は仕事をしていても不思議と
疲労を感じませんでした。
昨日、島袋さんと、彼の妹さんの栗田さんから
たくさんのパワーをもらったからかもしれません。(^^;)

それから一昨日の月曜日、この日は夕方6時からフランス語のレッスンでした。
また仕事の都合で授業に間に合わず、後半からの出席になってしまいました。
授業が終わってから、隣に座っていた女性と話していたら
その人は、今、働きながら大学の法学部で勉強していると教えてくれました。
普通、フルタイムで働くだけでもしんどいのに、仕事が終わってから
また勉強なんて・・本当に偉いなあと思いました。
忙しいというのを理由にフランス語の予習も復習もしていない私、
本職の英語のほうも勉強のために定期購読している
英字雑誌のビニールの袋を破かないまま何週間も放ってある私なんて
ただの怠け者じゃないか、なんて思っちゃった。

授業に半分の時間しか出られなかったので、先生が授業終了後に
「良かったら、今から始まる上のレベルのクラスに出てみれば?」と言ってくれました。
ちんぷんかんぷんながら、上級クラスの見学もさせてもらいました。
周りの人達は本当にすごかった。
皆、フランス語でペラペラと先生とお喋りして、冗談なんか言い合ったりして。
私はあとどれくらい勉強したらあんなになれるんだろうか。
この授業の時、隣の席に座っていた方がテキストを持っていない私のために
彼女のテキストを私との間に置いて、見せてくださいました

元英語教師だそうで、年配の方でしたが、ずっとフランス語を
勉強されているそうです。
とても上品な雰囲気で流暢にフランス語を話される姿には
ため息しか出ませんでした。

月曜日に出会った彼女達もそれぞれ自分の好きな道で
目標を持って頑張っている。彼女達の姿、そして
昨夜の島袋さんの話から、自分自身すごく勇気付けられました。
何か目標を持つこと、そして夢を諦めないということって
とても大事なことなのだと痛感した二日間でした。