みんなへつうしん 3月24日(水)

 

 

この一年で撮りためた写真で,

その年の思い出を

まとめた動画を作る。

 

これは,ぼくが担任として,

みんなにしてあげられる,

年度末最大の仕事。

 

大好きな教え子たちへの,

最後のプレゼントのつもり。

 

その年の思い出だから,毎年,

その年によく聴いていた曲から,

みんなに合っているものを選んで,

バックミュージックに使っている。

 

そんな「思い出動画」の

一番大事な最後の曲を,今年は,

ラッドウィンプス(RADWIMPS)の

「正解」という歌に決めた。

 

RADWIMPS - 正解(18FES ver.) - YouTube

 

これは決して,

今年流行っていた曲でもなければ,

みんなが好きだった曲でもない。

 

でもこれは,ぼく自身,

みんなに出会ってから初めて知った曲で,

この歌を聴いたときから,

 

「ああ,この歌は,

 ぼくからみんなに

 プレゼントしたい」

 

って強く思った,

ぼくからみんなへの,

最後のメッセージだ。


みんなみたいに,

こんなに相手に対して優しくて,

仲のよいクラスを,

ぼくは他に知らない。

 

みんなと話していると,

とても安心する。

 

何でも正直に話せるし,

居心地がいい。

 

この曲の「歌い出し」は,

まさに,ぼくとみんなが,

この小学校での

最後の一年を共にして,

いろいろな経験をしてきた

からこその「距離感」に,

近いものを感じる。


毎日の「みんなへつうしん」も,

とても自然に書くことができた。

 

いつもは騒がしいみんなも,

これを読むときには,

静かによく聞いてくれていたよね。

 

普段の授業では,

そのほどんどが

「正解がある問い」ばかりで,

その押しつけに,

いつも反発していたみんなだったけれど,

ぼくらが本当に知りたくて,

いつも一緒に考えてきたことは,

まだ銀河にもない,

答えのない問いばかりだったんだ。


ぼくがいつも抱えている宿題は,

 

「教え子たちが学校を卒業してから,

 幸せに生きていくためには,

 いま,どんな教育が必要なのか」

 

という問いだ。

 

人は,世の中をより成長させるために,

「問題点に目を向けること」ができる。

そして,それを少しずつ解決していくことで,

以前よりもずっと幸せに

生きられる世の中をつくってきた。

 

けれど,

その問題点にばかりに

目がいってしまって,

まだわからない未来に,

勝手に絶望してしまう人がいる。

 

それは,法則的に誰しもが

陥ってしまいがちなことなのかもしれない。

 

だって,

いいことばかりが続くなんてことは

人生においてはないのだから。

 

「これがずっと続くのかも・・・」と,

続くかどうかもわからないのに,

思い込んでしまうことがあるのだ。


日本は,自殺者が毎年3万人を

超えてしまっている自殺大国だ。

そこにはきっと,

「未来を明るく考えられない」

という問題が潜んでいると思っている。

 

「世の中をよくするために」

という〈正義感〉で,

問題点を大きく掲げて

警鐘をならす人たちがいる。

 

「このままでは国の借金は膨らむ一方だ」

 

とか,

 

「このまま温暖化が進めば地球が危ない」

 

だとか,

 

もう取り返しのつかないことを

してしまっているかのように

言いふらしている大人を,

ぼくは信用していない。


世界は,今までよりも確実に,

幸せに生きられるような

世の中になってきている。

 

いま起きてしまっている問題を,

知らないでいるよりは大事なこと

なのかもしれないけれど,

それをふれ回ることによって,

誰かの,

まだわからない真っ白な未来を,

絶望させてしまってはいけない。

 

警鐘を鳴らすなら,必ず,

明るい未来とセットで

語らなければならない。

 

そういう大人でありたい。


みんなの未来は,

明るいに決まっているのだ。

 

だって,どんなことが起ころうとも,

 

「どっちに転んでも、シメタ」

 

なのだから。

 

そう考えられるようにならなかったら,

人は「問題を解決していける力」なんて

得られないだろう。

 

だから,まさにこれは,

ぼくがみんなにできる仕事。

つまり,教育の問題なのだ。


「正解」の歌詞を借りるなら,

「なにひとつ見えない未来だから」こそ,

みんなで予想することが楽しいのだ。

 

「答えがわかっている

 問いなんかに,用などはない」。

 

これからの人生,

どんなに難解な問題が出てこようとも,

「それを解いてやろう」という〈意欲〉と,

「きっと解ける」という〈自信〉を

育てる必要がある。

 

ぼくがみんなと積み重ねてきた

「たのしい授業」は,

そのための「タネまき」を

してきたつもりだ。

 

ひとりでは,決して解けない問題も,

みんなで予想し合って,

結果を見ていくことで,

必ず本当のことを知ることができる。

 

自分ひとりの考え方なんて,

たかがしれているけれど,

でも,自分ひとりの考えというのは,

やっぱり大事だんだという経験。

 

「それはさすがにないだろう」

と思うような,

ウソみたいな誰かの考えが,

本当のことだったりする出来事。

 

予想の時に自信満々に

相手を説得させていた人が,

実験後に間違っていたとわかったとき,

なぜか

「間違っていたけど,あいつ,すごいな」

って思ってしまう,不思議な体験。

 

「どんな人の意見も大事なんだ。

 多様性が重要なんだ」

 

って言われても,

そんな経験をしたことがなかったら,

 

「そんなのは

 大人が勝手に考えた,

 ただの理想だ」

 

と思って、見向きもしない。

 

だけど,ぼくらは確実に,

いくつかの授業の中で,

そんなことが腑に落ちる経験を

共にした仲間だから,

きっと,その心にまかれたタネを,

自分たちで育てていけるだろうって

信じている。

 

 

そして、いよいよ卒業の時。

 

最初にクラスの前面に掲げた

ツバメたちのように,

みんなは大空へと

羽ばたいていく。

 

みんなの心にまかれたタネが,

どんな花を咲かせるのか,

ぼくは見ることができないかもしれない。

 

でも,それでもいい。

 

答え合わせは,いつものように,

自分たちでしていくものなのだから。

 

 

そしてきっと,

みんなが咲かせる

その美しい花をみて,

またそれに,

影響を受ける人がいるのだろう。

 

そうやって,

想いはつながっていくんだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の一枚は,Rikoちゃんの

とってもかわいいデザイン。

卒業式にピッタリの作品!

ちゃんと今日のことを予想して,

それに合ったデザインに

していたことがスゴイよね。

 

 

そして,みんなのために

とってもステキな

黒板アートをしてくれた

地域のボランティアさん。

 

前日,みんなが帰ってから

教室に来て,何度も描き直して

夜までかかって仕上げてくれました。

ありがとう!

 

今日は,きっと,

とっても素敵な卒業式になるね!