当ブログでは、時間外勤務について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。

(六)出張日当・会議手当の性格
(1)出張日当は,出張に伴う長時間拘束の対価もしくは補償の意味を有し,事業場外労働における時間外手当(残業代)の性格を有する。
(2)他方,会議手当は,時間外手当(残業代)に代わって勤務手当を支給することになったものの,会議設営日や,会議運営日は手持ち時間が多い反面,拘束時間が長くなるため,勤務手当の支給のみでは不十分ではないかという意見が出され,長時間拘束に対する補償として支給されることになったものである。
(3)したがって,仮に,時間外手当(残業代)の支給が認められるのであれば,既に支払い済みの出張日当・会議手当を当然控除しなければならない。
(七)消滅時効の援用が権利の濫用とはならないこと
(1)第一審原告らが主張するタイムカード提出義務の根拠は明確ではない。しかし,労働者の要求があれば,使用者がタイムカードを提出しなければならないなどという法律上の義務が存在しないことは明らかである。
(2)第一審被告が労働基準監督署から要請を受けたのは,「紫冨田薫の賃金及び労働時間」に関する事情聴取のための呼び出しが最初であり,第一審被告は,指定日に同署に出頭して事情の説明を行うとともに,タイムカードの写しを提出している。このように第一審被告は労働基準監督署の要請に誠実に対応しており,その要請を拒否した事実はない。

(3)確かに,右以前に,第一審原告らから,タイムカードの写しを送付してもらいたい旨の文書による請求はあったが,単に出勤状況が知りたいということのみで,時間外手当(残業代)の請求に必要な資料である旨の説明は全くなかった。そこで,その程度の理由であれば,膨大な労力を費やすに足る合理的理由ではないと,さらに,具体的理由の説明を求めたが,先の回答を超える回答はなかった。
 その後,1990年11月8日付通知書(〈証拠略〉)により時間外割増賃金(残業代)の支払いを求めてきたことはあるが,第一審原告らが時間外割増賃金(残業代)に言及したのはこのときが始めてである。
(4)証拠保全の際に,タイムカードの検証がなされなかったのは,突然,検証が行われ,その際,タイムカードの保管場所を知る社員が不在であったため,その所在が不明であったことによる。したがって,証拠保全の際に,タイムカードの検証ができなかったことをもって,第一審被告の妨害行為とするのは誤りである。
(5)第一審原告らはタイムカードのない状態で,第一審被告に対し,時間外・休日・深夜の各未払い賃金を金額を特定して請求し,さらには,請求の趣旨を特定して本訴を提起しているので,タイムカードがなかったため,訴えの提起ができなかったとか,タイムカードを提出する信義則上の義務があるなどと主張するのは失当である。


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