本ブログでは、時間外労働・深夜労働 について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。
三 給与規程(〈証拠略〉)が就業規則として効力を有すること
1(一)第一審被告の事業本部副部長の新井立夫は,原審証人尋問及び陳述書(〈証拠略〉)において,「給与規程(〈証拠略〉)は,昭和60年7月,大阪支社(現関西支社)が天満労働基準監督署より,就業規則が未届である旨是正勧告を受けた際,従前,本社で作成していた就業規則とともに提出したものである。当時,既に,時間外手当(残業代)を定額の勤務手当で支給していたが,その実情を無視して,法的な形式を整える目的のみから,市販の実例集を参考に作成・提出したと聞いている。届出に当たり,大阪支社の従業員の意見を聴取したことも,給与規程を大阪支社の社員に周知したこともないと聞いている。役職手当については実情に合わせているが,時間外手当(残業代)の部分は実情にあっていない。当時は,労務を担当者(ママ)していなかったので,正確なところは分からないが,東京の方ではこのような給与規程は出していないと思う。当時としては,勤務手当制度が一般的でなかったため,存在しない給与規程を至急作成する必要に迫られたものの,第一審被告には実情に沿った給与規程を至急作成できる能力がなかったため,市販の事例集を見て,形式だけという意識で届け出を行った。(証拠略)の給与規程は給与に関する経理担当者の内規として会社の賃金の実情に即して作成されたものであり,新しく入社する社員に対してはこの内容で説明していた。」旨供述する。
(二)また,昭和60年当時,第一審被告の専務取締役であった八木啓充は陳述書(〈証拠略〉)で、「関西支社では,昭和60年に天満労働基準監督署から調査を受け,就業規則等の届出がされていなかったため是正勧告を受けた。総合開発部長であった三好純一が,本社の就業規則を届け出たが,本社では必要のなかった給与規程の提出も求められたため,現に適用していた給与規程(〈証拠略〉)ではなく,市販の書式を参考に作成して提出したようである。届け出た給与規程は実際の給与制度とは相違する内容であった。三好部長は労働基準監督署の是正勧告に対応するためだけに,実態と異なる給与規程を作成して届け出たのであり,その内容を関西支社の社員に説明したことも,給与規程を従業員に回覧したこともない。」旨陳述する。
2 しかし,従業員就業規則(〈証拠略〉)(以下「本件就業規則」という。)には以下の規定がある。 
(一)時間外勤務(残業)(第11条)
(1)業務の都合により所定時間外に勤務させることがある。
中略
(4)時間外勤務(残業)に対する賃金は給与規程14条に定める。
(5)時間外勤務(残業)は会社と従業員代表との間で協定した時間の範囲内とする。
(二)休日勤務(第14条)
(1)業務上必要がある場合には,休日に勤務を命じることがある。
(2)前項の休日勤務は所轄労働基準監督署長に届け出た従業員代表との休日勤務協定範囲内とし,別に定める給与規程の第14条により賃金を支払うものとする。ただし,災害その他避けられない事由により臨時の必要がある場合は,休日勤務させることができる。
以下略。
3 右2でみたとおり,第一審被告は本件就業規則において,時間外勤務(残業),休日勤務に関する賃金は別途給与規程14条で定める旨明記している。そして,給与規程(〈証拠略〉)
(以下,同給与規程を「本件給与規程」という。)には以下の規定が設けられている。
(割増手当(残業代))(第14条)
(一)就業規則第11条及び第14条に定める割増手当(残業代)は,〔1〕残業手当(残業代),〔2〕休日手当,〔3〕深夜手当(残業代)の3種類とする。計算式は次のとおりとする。
(1)残業手当(残業代)=基本給÷145×1.25×時間数
(2)休日手当=基本給÷145×1.25×時間数
(3)深夜手当(残業代)=基本給÷145×0.25×時間数
(二)所定の勤務時間勤務し,更に深夜に及んだ場合の割増率は5割とする。

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