このブログでは、時間外労働についての裁判例を紹介しています(つづき)。
2(一)ところで,社員構成表(〈証拠略〉,昭和60年7月12日付。)上,参事・係長・係長補佐の職種は,いずれもマネージャー職と位置づけられ,第一審原告横野らは右マネージャー職に位置する。
(二)本件給与規程(〈証拠略〉)で,役職手当を支給する代り,割増賃金(残業代)を支給しない扱いになっているのは,次長,室次長以上の者,即ち,ディレクター職以上の地位の者らであり,第一審被告はマネージャー職以下の地位の者らに対して割増賃金(残業代)支給の必要があるとの認識でいたものと認められる。また,割増賃金(残業代)支給についての検討資料(〈証拠略〉)でも,同様の前提で検討がなされていたものと認められる。
(三)(1)確かに,第一審原告横野らはいずれもセクションの責任者として,第1次,第2次考課者として部下の人事考課を行い,上長として部下の勤務・勤怠に関する届出を承認するなど労務管理の末端を担い,出退勤に当たって,タイムカードを打刻する必要がないとの扱いを受けていた事実が認められる(弁論の全趣旨)。
(2)しかし,第一審原告横野らの業務内容は,いずれも他の従業員らと変わるところがなく,タイムカードの打刻が免除されていたとはいえ,関西支社の業務量の増大に伴い残業を余儀なくされていたので,出退勤の自由があったとは認められない。また,第一審原告らが担当していた業務の内容・性格に照らすと,時間配分等が個人の裁量に任されていたとは考えられない(証人隅崎守臣の証言等。)。
(3)そうすると,第一審原告横野らが労働時間について自由裁量権を有していたとは認められない。また,第一審原告横野らが労務管理に関わっていたとはいえ,部下からの勤怠の届出に承認を与えたり,考課の際に意見を述べるという程度のもので,それ以上の決定権を与えられていた訳ではない。したがって,第一審原告横野らが経営者と一体的な立場で重要な職務と責任を負担していたとはいえない。
3 したがって,第一審原告横野らが,労働基準法41条2号の「監督もしくは管理の地位にある者」に該当するとして,割増賃金(残業代)の支払いを免れることはできない。
六 前記四2(六)でみたタイムカードヘの記載がない部分等についても,割増賃金(残業代)を全面的に否定することが相当ではないこと
1 第一審被告がタイムカードで従業員の労働時間を管理し,これを労働時間と扱っていたことは前認定のとおりである。第一審原告らが従事する業務には,移動時間等,労働基準法上の労働時間とするには疑問のある部分も含まれている。したがって,タイムカードへの記載を認めるということは,前記のとおり,使用者として,その労働時間性を承認する意味もあるので,仮にタイムカード以外の資料で労働時間を立証して割増賃金(残業代)の請求を行おうとするのであれば,それが本件就業規則で労働時間と認められたものと同様のものであることを証明しなければならない。
2 しかし,第一審原告横野らが記載した手帳のメモや,その勤務状況についての本人もしくは他の第一審原告らの供述,あるいは,報告書の記述等は必ずしも正確であるとはいえない。また,客観性にも欠ける面があるので,これらをタイムカードの記載と同列に扱い,これらから右労働時間の証明がなされているものと扱うことはできない。その具体的理由は原判決65頁8行目から同72頁8行目に記載されたとおりである(ただし,原判決66頁9行目の「〈証拠略〉」を「〈証拠略〉」と改める。)ので,これを引用する。
企業の方で、残業代請求についてご不明な点があれば、企業法務に強い顧問弁護士にご相談ください。その他にも、個人の方で、交通事故、解雇、原状回復義務・敷金返還請求や借金の返済、ご家族の逮捕などの刑事弁護士の事件、遺言相続などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。
2(一)ところで,社員構成表(〈証拠略〉,昭和60年7月12日付。)上,参事・係長・係長補佐の職種は,いずれもマネージャー職と位置づけられ,第一審原告横野らは右マネージャー職に位置する。
(二)本件給与規程(〈証拠略〉)で,役職手当を支給する代り,割増賃金(残業代)を支給しない扱いになっているのは,次長,室次長以上の者,即ち,ディレクター職以上の地位の者らであり,第一審被告はマネージャー職以下の地位の者らに対して割増賃金(残業代)支給の必要があるとの認識でいたものと認められる。また,割増賃金(残業代)支給についての検討資料(〈証拠略〉)でも,同様の前提で検討がなされていたものと認められる。
(三)(1)確かに,第一審原告横野らはいずれもセクションの責任者として,第1次,第2次考課者として部下の人事考課を行い,上長として部下の勤務・勤怠に関する届出を承認するなど労務管理の末端を担い,出退勤に当たって,タイムカードを打刻する必要がないとの扱いを受けていた事実が認められる(弁論の全趣旨)。
(2)しかし,第一審原告横野らの業務内容は,いずれも他の従業員らと変わるところがなく,タイムカードの打刻が免除されていたとはいえ,関西支社の業務量の増大に伴い残業を余儀なくされていたので,出退勤の自由があったとは認められない。また,第一審原告らが担当していた業務の内容・性格に照らすと,時間配分等が個人の裁量に任されていたとは考えられない(証人隅崎守臣の証言等。)。
(3)そうすると,第一審原告横野らが労働時間について自由裁量権を有していたとは認められない。また,第一審原告横野らが労務管理に関わっていたとはいえ,部下からの勤怠の届出に承認を与えたり,考課の際に意見を述べるという程度のもので,それ以上の決定権を与えられていた訳ではない。したがって,第一審原告横野らが経営者と一体的な立場で重要な職務と責任を負担していたとはいえない。
3 したがって,第一審原告横野らが,労働基準法41条2号の「監督もしくは管理の地位にある者」に該当するとして,割増賃金(残業代)の支払いを免れることはできない。
六 前記四2(六)でみたタイムカードヘの記載がない部分等についても,割増賃金(残業代)を全面的に否定することが相当ではないこと
1 第一審被告がタイムカードで従業員の労働時間を管理し,これを労働時間と扱っていたことは前認定のとおりである。第一審原告らが従事する業務には,移動時間等,労働基準法上の労働時間とするには疑問のある部分も含まれている。したがって,タイムカードへの記載を認めるということは,前記のとおり,使用者として,その労働時間性を承認する意味もあるので,仮にタイムカード以外の資料で労働時間を立証して割増賃金(残業代)の請求を行おうとするのであれば,それが本件就業規則で労働時間と認められたものと同様のものであることを証明しなければならない。
2 しかし,第一審原告横野らが記載した手帳のメモや,その勤務状況についての本人もしくは他の第一審原告らの供述,あるいは,報告書の記述等は必ずしも正確であるとはいえない。また,客観性にも欠ける面があるので,これらをタイムカードの記載と同列に扱い,これらから右労働時間の証明がなされているものと扱うことはできない。その具体的理由は原判決65頁8行目から同72頁8行目に記載されたとおりである(ただし,原判決66頁9行目の「〈証拠略〉」を「〈証拠略〉」と改める。)ので,これを引用する。
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