「パラダイス」のダイジェスト映像と感想。 | 丸山隆平holic!~オレンジ色に染まる日々~

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(まるちゃん多め♡)

「パラダイス」大千穐楽から約1ヶ月、

公式さんよりダイジェスト映像が公開されました。

たとえ短くても、こうして映像で残してもらえるのはありがたい!


感想、もう完全にタイミングを逸してしまったので上げられずにいたけれど、

これを見たらやっぱり自分なりに残しておきたくなりました。


今さらの覚え書きと感想です。



*****


■開演前のBGMにあいみょんや髭男など巷で流行った邦楽曲が流れてたのは、

今から始まる物語の舞台は決して別世界なんかじゃなく、この国のリアルな「今」なんだってことかな。


■冒頭いきなりの激しい暴力シーンで客席はのっけから重い空気に。

血まみれの男をなお一方的に殴る蹴る、髪の毛掴むなどしているこの男が詐欺集団を取り仕切る梶浩一(丸山隆平)。

(とにかく脚が長い!スタイルがよい!

後ろ向きでしゃがんだ時のお尻が小さい!)


窓を閉め切った雑居ビルの一室で

梶と腹心の真鍋が、遅刻した研修生を見せしめに規律を叩き込みながら、彼らに焚き付ける。

これは犯罪ではなく、この世の中への「復讐」だと。


「なにもホームレスから身ぐるみ剥がそうってんじゃない、資産1億の連中からたった300万かすめ取るだけ。これって罪なのか?」

実際もこんな身勝手な思い込みと洗脳によって詐欺犯罪が行われてるのかと思うとゾッとする。


■彼らの上役・辺見(八嶋智人)と、そのボディーガード・青木(水澤伸吾)がボウリングをしているところへ浩一と真鍋が呼び出される。

(八嶋さんのボウリングスタイル、クセが強い!)


辺見は浩一も知らない家族の近況をチラつかせながら、浩一が独立しようと密かに動いてることに対して釘をさす。


■疎遠になってた実家を訪れた浩一

そこには老いた両親(西岡徳馬、梅沢昌代)と出戻りの姉(坂井真紀)のうんざりするような日常が。

相手の話を聞かず、好き勝手にまくし立てるだけで会話が成立していない家族の中で、存在をほぼ無視され所在なさげな浩一。

居心地の悪さに戸惑いながらも一生懸命聞いて相槌を打つ様は、とてもさっきまでと同一人物とは思えない。


■ビルの屋上で、昼間からシャンパン片手にバーベキューする辺見たち。

ふらっと入ってきた中年男(作・演出 赤堀)が富士山がもうすぐ噴火するらしいという話をして去っていく。

遅れて来た浩一が研修生の若林が居ることに驚く。

若林が実はヤクザの息子で、辺見が上から面倒を見てほしいと頼まれていたと知り、激怒。

真鍋の制止も振り切り、若林をボコボコに。

辺見に絶縁を叩きつけ、真鍋とゼロからやっていくと宣言して去る浩一。


下の階ではひとり懸命に電話をかけ続ける道子。

研修生の中で初めて成果を出し、拍手で称えられ涙ぐむ。

そろそろ限界です、と訴える真鍋に対し、

浩一はまだ何も終わってない、と笑う。


■夜の公園で、居なくなった飼い猫を手分けして探す家族。浩一も一緒に探すために合流する。

だが真鍋には電話で、自分のマンションのドアの前に猫の死体が置かれてたこと、たぶん辺見の仕業だと明かす。

「お前は足を洗え、明日には東京を出ろ」と告げる浩一。

(この時、ガードレールに腰をかけ電子タバコをくわえるまるちゃんは網膜に焼き付けておきたいほど生々しくてドキドキ…。

煙も近くまで漂って来て、思いっきり吸い込みたい衝動にかられました)


■ビルの屋上でお寿司を食べる辺見と青木、

辺見に刃物を向けて立つ浩一。

辺見に浩一を許してくれるよう頼み、詰めた小指を差し出した真鍋は、そこに瀕死の状態でブルーシートで覆われていた。

青木が浩一の頭に自作の改造銃を突きつける。

「こいつよっぽど君に惚れてんだね。

そりゃ辺見さんも嫉妬するわけだ」


浩一にお腹を刺され崩れ落ちる辺見。

そこに居場所を求めてふらっと戻ってきてしまった道子が。

辺見は放置され、青木と道子が花火にはしゃいでいると、あの中年男が赤いポリタンクを手に現れる。

4階のクリニックへの不満を吐き出し、

「火をつけてきた。いま結構燃えてます」と。


本当に起きたあの事件を思い出してゾッとした瞬間。

道子に鍵を渡してを逃がした青木、

辺見を撃ち、真鍋を撃ち、

浩一に銃口を向けたまま話し出す。


昔はカラスも犬も3本足だった。

カラスは飛べるからいいけど犬は歩きづらいよ。

偉い人にお願いしたら、カラスの足を1本奪って犬にあげたんだよ。

だから犬はおしっこする時、濡らさないように片足をあげる。

遠慮することないのにね、あんな小狡いヤツのために。

(きっとカラスは辺見。犬は自分。)

それを浩一は笑いながら聞いている。


青木が「ざまぁみやがれ!」と浩一に銃を向けたとたん暗転。


■浩一の実家

いつものうんざりするような家族の会話が繰り広げられる中、玄関のドアが開く音。

姉の声だけが聞こえる。

「おかえりー、なんでこんな時間に?

カレー余ってるから、アンタいっぱい食べちゃって」 

END


*****


これが赤堀ワールドか!

余白があるとはこういうことか、と。


背景がわかる説明的な描写がほぼないから自分なりに想像を膨らませてみるものの、次観た時にまた別な解釈が生まれるし、素晴らしい考察を目にして、なるほどそういうことか!と唸ったり…
観劇後の余韻がずっと味わえる、
舞台ってこういう楽しみ方ができるのか、
と改めてその魅力に気付かされた作品でした。

今回、大阪・東京合わせて3回観劇した中で、
大きなアドリブはなかったかと。
それだけ緊張感があったし、
台詞の一字一句全てが重要なんだと感じました。


初めて観た時は衝撃で凍りついたし、
ズーンと重く受け止めちゃってしんどくなったけど、
まるちゃんがすぐwebで、赤堀さんは喜劇(ブラックコメディ的な)のつもりで作ったらしいので、気軽に観ていだけたら…と言ってくれたおかげで
2回目からはずいぶん見方が変わったし、
客席に笑いも起きてて、楽しめるようになりました。

あまり深読みはしたくないので、感想はサラッと。


梶浩一について

詐欺集団のトップとはいえ、組織の中では彼も下の人間で、家族には気をつかう長男で…

最初抱いていたイメージからどんどんかけ離れてくる人物像。

ごく普通の家庭に生まれて、普通に大学行って、普通に就職して、彼女も出来た浩一がどういうわけで裏社会の人間になったのか。

なぜ別の姓を名乗ってるのか。

どうしてそこまで辺見に気に入られ、真鍋に信頼されてるのか?

全て想像するしかないけれど、

浩一が初めて辺見にカウンターのお寿司を食べさせてもらった時に号泣したというエピソードや、

真鍋に見せるふとした笑顔で

ずっと孤独で、誰かに愛されたい人だったんだなと感じました。


浩一と真鍋と辺見

アフタートークで赤堀さんが「三角関係」という言葉を使われたそうで。


浩一が辺見に絶縁を突きつけてバーベキューから去る時、「おい、行くぞ」と呼ばれた真鍋が辺見を思いっきり睨んでから後を追うところとか、

浩一に足洗えと言われて電話の向こうで泣いたりとか、

自分の小指を切り落としまで助けようとするところとか、

浩一に対する真鍋の絶対的忠誠が切なくて愛おしくてたまらなかったんですけど、

千穐楽後、真鍋を演じた毎熊さんがTwitterで、

「台本にほとんど書かれていない梶と真鍋の関係性を日々、隆平さんと深めていけた事は役者として本当に楽しかったです。」

と書いてらしたのを見て悶絶しました。


また、辺見は辺見で、ずっと一緒にやってきた、可愛がってきたつもりの浩一が自分に相談なく真鍋と独立しようとしてることが一番許せなかったんだろうけど、

猫の死体で脅したり、2000万も出して尻拭いしたり、真鍋をだしに呼びつけてこの期に及んでまだ「戻ってきてもいい、俺はウエルカムだよ」と言ったり、浩一への執着が恐ろしいし、

そこまでしても浩一をつなぎ止めることが出来ない彼もまた孤独なんだな、と。



ラスト、帰ってきたのは誰なのか?

母親としての感覚から、姉の声掛けは中学生の息子にかける言葉としては違和感があったので、あれは浩一だったと確信してました。

が、その後のアフタートークで赤堀さんが、

まるちゃんが最後の場面、

「俺はここに帰って来られへんかったんや···」

って舞台袖で泣いてたことを明かしたと知り、

ってことは、あれは浩一じゃないのかぁ…と。

(これ貴重な話だけど、せめて終わってから聞きたかったよ···)


たしかに両手で足りないほどの老人を自殺に追い込んだ浩一が、あのあと普通に生きていくとは考えにくいし、

青木が浩一を逃がしたとして、あの現場から無傷で帰って来れるはずはなく、とすれば姿を見た姉の反応はもっと違っていただろうし。

だから、浩一の魂だけが帰ってきたのかな、と。


「パラダイス」の意味を調べたら、

“キリスト教ではこの世を去ってから行く幸福なところ”という意味もあったので。


ラストが姉の息子だとしたら浩一の居場所がどこにもなく、あまりにも可哀想…

せめて浩一の魂だけでも帰ってきて、

それを、あの姉が気づいてくれたんだとしたら

観客として少しは救われる気がするな、と勝手な願い。



役者・丸山隆平
とにかくまるちゃんの感情表現が凄かった!
何より印象的だったのは刃物を持って現れた場面、前方席から見えた瞳の揺れ、目がしばしばと瞬く演技に心が揺さぶられました。


それから、ただ“聞く”という場面がすごく多い中で、戸惑い、苦悩、諦め…等、表情だけで見せる繊細な演技も素晴らしかったな。


パンフにも芝居は“聞くこと”が一番疲れるとあったけど、

あれだけの台詞をちゃんと毎回受け続けた40公演、そりゃしんどかっただろうな、と改めて思います。



若林を演じた永山さんがインタビューが教えてくれました。

「空気感は常にピリッとしていました。

最初から最後までオンオフの切り替えもなく、ずっと緊張感があり、ここまで緊張感がある稽古場は初めてでした。

今回の稽古は神聖な空気が漂い、気を抜くことが許されないように感じましたが、全員が真剣にお芝居と向き合い、高みを目指していたからこそだと思います。」


そんな現場で、まるちゃんが大好きなお芝居に集中して向き合えたことはファンとしてとても嬉しい!


役者・丸山隆平が次に出会う役はどんなんだろう?


その日が今から楽しみで仕方ないです。