嘘を言っている杉原さんの顔を見ると嘘だとわかる。

話し方でも杉原さんの心の変化がわかる。


メールの入り方、電話の入り方でもわかる。


とても私にはわかりやすい人。



わかりやすい人なだけに、私の心を痛め付ける。



それでも、バカな私は、杉原さんの
「東京に出張に行く。今度一緒に行きたいね」


「タイに今から出発します。帰りは○日です」


「タイから戻りました」


「静岡に向っています。明日帰ります」


「お疲れさま。ホテルで一人淋しく飲んでます。富士山がきれいに見えた」


「疲れました。おやすみ」


「おはよう」


「運転気をつけて」


こんな短いメールでも、うれしかった。






杉原さんと逢った日の夕方から大雪になった。


雪の中、私は珠里の住む家から自分の家に夜遅く帰宅した。


除雪してない駐車場に無理矢理に車を停めた。


次の日の朝、外を見ると積雪は昨晩からさらに20センチはある。
除雪してない駐車場から私の車は出るのかな…
困った…と思っていたら、杉原さんから電話があった。
「さぁ、おはよう。雪、すごく積もったな。大丈夫か?会社に行けるか?今から向かおうか?」
優しい言葉。


そう…前は私を心配して除雪に来てくれた…
優しいところもあるんだよね…杉原さん…


「車が出なかったらお願いするかも。でも、きっと大丈夫です」


私の車は雪道に強い。
一回で道路まで出れた。


会社に着いてから杉原さんに「無事に会社に着きました」とメールをした。



除雪の心配までしてくれる人なのに、どうして平気で私を悲しませるの?


そして、どうして何事もなかったかのように連絡して来れるの?



その日の夜、自宅に帰ったら駐車場がきれいに除雪されていた。







それからは、日曜日の朝になると必ず杉原さんから連絡があり、逢うようになった。


一緒にカフェでお茶したり食事したり、ゴルフショップで買い物したり、そしてラブホでゆったりまったり。



ゴルフショップで私は色と形が気に入ったゴルフバッグを見つけた。
杉原さんに「これどう?可愛くない?値段も手頃だし買おうかな。」と言った。
「さぁの誕生日に買ってやるよ」と杉原さんは言った。

誕生日か…あと半年もあるよ…それまで、この関係は続くのかな…


そう思いながら、結局は買わないでお店を出た。



そう遠くないうちに、また同じことの繰り返しで、私と杉原さんは距離を置くに違いない…
いつも、一緒にいても、私は心のどこかでそう感じている。



18歳の時に出会った時にはもう杉原さんには奥様がいらっしゃった。

私は、ただの一度も奥様と別れて欲しいとは言わなかった。

私と杉原さんが一緒に食事していた時に、偶然奥様も同じお店で食事しておられた事があって、バッチリ見られてしまった。

だけど、奥様は何も言われなかったらしい。

そういう人じゃないと、杉原さんの奥様は勤まらない。

私は、杉原さんの妻の座が欲しい訳ではない。
でも、やっぱり私だって女だもの…私の他に女がいるのはイヤ。
他の女と杉原さんをシェア出来ない。