最寄りのインターチェンジの駐車場に美和子の車で着いた。


杉原さんはすでに来ていた。後は所長さんだけだなぁって思いながら杉原さんの車に近付きゴルフバッグなどの荷物を美和子の車からおろした。


杉原さんが車から降りて来た。「所長が行けなくなったよ」


「えっ?そうなの?何か急用?」


「うん、昨日、奥さんのお父さんが亡くなられたらしい」


「そうなんだ…じゃあどうする?中止してもいいよ。杉原さんお葬式に行かれるんでしょう?」


「葬式は社長(杉原さんのお父さん)が行くだろう。気にしないで三人で行こう」

「いいの?何だか申し訳ないよ。でもドタキャンしたら長野のゴルフ場の社長さんにも申し訳ないよね」


「そうなんだ。所長も気にせず行ってくれって言っていたし、向こうの社長にお土産も持って来たし、出発しよう」


私と美和子は杉原さんの車に荷物を積んだ。


まずは杉原さんが運転し、私は助手席、美和子は後部座席。


途中のサービスエリアで昼食をとり、そこから私が運転した。


高速を降りてゴルフ場までの間に日帰り温泉がある道の駅があるから寄ってお風呂に入ろうと杉原さんが提案した。


調べてくれていたんだ…


温泉に入ってからゴルフ場のホテルに向った。想像よりも古い建物だったが部屋は和室で広く、まだ寒い長野だけにコタツもあった。


私と杉原さんが同じ部屋で美和子が一人ってわけには行かず、協議した結果三人で一つの部屋にした。


別の部屋で食事した。
杉原さんも美和子もかなり飲んだ。私は少しだけ。


食事が終わり部屋に戻ると布団が三組敷かれていた。

「あー酔ったなー」と布団に倒れこむ杉原さん。


私と美和子はコタツに入り話をしていた。



「ゴールデンウィークに杉原さんと杉原さんの会社の営業所の所長さんが長野県にゴルフに行かれるんだって。私も連れて行ってもらえるんだけど美和子も行く?」


「えっ?いいの?」


「うん。でも、旦那さんと相談してね」


「旦那は大丈夫。どうしよう!うれしい!」


「杉原さんにOKしておくから、旦那さんに話してね」。ゴルフ場の横のホテルみたいな所に一泊してゴルフしてから帰ってくるから遅くなるよ」


「うふふ、楽しみぃ。よろしくお願いします」


「ゴールデンウィークとはいえ、まだ長野は寒いから温かい服を持って行くように」と杉原さんに言われていた。


「ねぇ!何着て行く?ゴルフウェアはどうしたらいい?スカートがいいかな?でも寒いのならパンツかな?」と大騒ぎする美和子。


「あのね、服もいいけど、練習をしないと…迷惑掛けれないよ。ラウンドレッスンなんてしてあげないよ」と私は厳しく言った。


「だってー、私は余りゴルフウェア持ってないし。さぁはたくさん持ってるからいいだろうけど」とまだ服にこだわっている。


私にキツく言われて美和子はゴルフの練習に励んだ。

どちらかというと熱しやすく冷めやすい美和子だが何とかゴルフは続いていた。ただ、性格が災いしているのか、マナーはよくない。大声を出したり、はしゃいだりする。ルールにも無関心。誰かが自分の世話をしてくれるものと思っている。


私は逆に、興味を持ったものはある程度までは突き詰めなければ気がすまない。大声も出さないし、はしゃいだりもしない。
同伴者に迷惑を掛けれないと、クラブを何本か持ち、小走りする。
「慌てなくてもいい」と言われる位だ。ゴルフは娯楽ではなくスポーツだと思っている体育会系な私。


ゴールデンウィークになり長野に出発の日、美和子が私の家に迎えに来た。


杉原さん達とは高速のインターチェンジの駐車場で待ち合わせしていた。


「長野県の南の方にあるゴルフ場の社長と仕事で知り合ったんだ。今度行ってみるか?隣にホテルもあるらしいよ」


杉原さんが言った。


「えー?ホントに?楽しみだわぁ!」


一年に何度か二人で一泊でゴルフに県外へ出掛けていた。
栃木が一番多かったかな?長野や山梨や新潟や石川にも行った。
ゴルフ場に併設されているホテルに泊まったり温泉宿に泊まったり…ゴルフと温泉とグルメ。


年に数回の贅沢。
杉原さんが費用を負担してくれたけど。


私の仕事が忙しくなった。それまでやっていなかった重要な仕事を任された。
初の女性登用で重圧に苦しくてそしてとても辛かった。
私は辛い時、杉原さんにメールを送った。


「頑張れ。さぁ、おまえなら出来る」


今でもその言葉は忘れない。


ゴールデンウィークに長野のゴルフ場に行く事になった。ゴールデンウィークはしっかり休もうと私は必死に仕事をした。
休日出勤が当時の私は当たり前になっていたから。


杉原さんと杉原さんの会社の営業所の所長と私の三人で行く事になった。


二人だけじゃないんだ…と残念に思ったが、元々は仕事で知り合った方が社長のゴルフ場、わがままは言えない。


「所長も行くし、おまえも友達の彼女を誘ってもいいぞ。聞いてみたらどうだ」と杉原さんは言った。


「でも、彼女はまだまだ初心者だし…杉原さんと所長さんに迷惑掛けてしまうよ」と私は言ったが、杉原さんは「最初からうまい人はいないよ、ヘタでも一生懸命にやればOKだよ」と言ってくれた。


「じゃあ、彼女に聞いてみるね」と私は言い、美和子に電話をした。