時々、大輔からメールが来る。
でも、会おうとかの内容ではない。
電話はして来ない。


私の出方を伺っている感がある。


全く無視はしないで返信は三回に二回しているけど、素っ気ない言葉になってしまっている。

この期に及んで、私がゴルフを教えてくれないから出来ないとか、最近残業が多いから出来ないとか、言い訳じみて他人のせいみたいな言葉が多い。
変ってない。


ひと月、残業が何時間でいくらの手当になると報告して来る。
確かにスゴイ金額ではあるけど、だから何?


私が以前にチラッと臨時賞与が少しあった話をしたら大輔は、「じゃあ、そのお金で何か買ってよ」と要求した。
そのくせ、私が娘の珠里の為にお金を使うと「働いているのに自分で払わせればいい」と言う。


自慢はするけど、大輔は「ご馳走するよ」とかは一切ない。
そして、買った物等を自慢気に写メしてくる。


たぶん、優しい言葉を期待しているんだろう。
でも、大輔には自分自身を見つめなおしてもらいたい。
変わらないのであれば私ははっきりと最後のセリフを言ってしまうだろう。


きっと、仕事から帰って来て食べてすぐ寝っ転がり、マンガ読むかインターネットで色々見て寝て行く、の繰り返しをしてるかな。


休みの日も、ずっと寝っ転がり、ダラダラ過ごしているかな。
また太ったんじゃないかな。


想像が出来る。


放置しておこう。






ホントに以前とは違い、余り杉原さんに執着していない私。


毎日毎日、バタバタ過ぎてしまって、杉原さんから連絡がなくても気にもしないでいる。



ある日、会社から帰宅途中に杉原さんから電話があった。


車をコンビニの駐車場に停めて電話に出た。


東京のホテルからだった。挨拶周りをしていたよう。


結構長い時間話をしていた。
杉原さんの仕事の話や私の仕事の話。
「お前、今日は厳しい事をはっきり言うなぁ」


確かに、三回目の付き合いになってから私は割とズバッと言いたい事を言うようになった。
特に、仕事に関しての考え方等に。


そして
「お前がうちの会社にいてくれたらなぁ」
と、また言った。



内心、今の会社を辞めてもいいと私は思っているし、杉原さんの会社に行ってもいいとも思っている。



「私が行くと大変だよ。社長にもくってかかるよ」


と言ったら、
「大歓迎だ」
と杉原さんは言った。



私が杉原さんの会社に入社したら私達の関係はどうなるのか…


杉原さんの息子も会社にいる。弟もいる。
私達の関係を知っている弟と知らない弟。


どうなるのか…
ただの社長と社員?
私の性格上、間違った事には黙っていない。
喧嘩をするのは目に見えている。
プライベートにまで口を出すだろう。特に女関係に。


そうなったら杉原さんは私に腹をたてるはず。
二人の関係も悪くなり、それでも杉原さんの会社で働く事が出来るのか。
この人に付いて行きたいというような社長としての魅力が杉原さんにあるのか。
私は、最低の男だと杉原さんと大喧嘩をして二回目の付き合いを終わらせたはず。



考えてもわからない。



私はどうしたいのか…
杉原さんはどうしたいのか…








自宅に着いて少ししたら、杉原さんからのメールが届いた。


「まだ仕事中ですか?」


私は「今日はもう終って自宅にいます」と返信。


「バレンタインのお返しですが明日でいいですか?家で飲み始めました」


へぇ~、わかっていたんだ~
ちょっと驚いた。



でも、次の日に連絡はなかった。


私は、連絡がないのも想定内だったから特に気にもせずにいた。



その次の日の深夜1時頃に「昨日はすみません。トラブル続きで」と杉原さんにしては考えられない時間にメールが来た。


起きていた私は「信じていませんでしたから。おやすみなさい」と返した。


「そんな。信じてほしい。大変だった。震災の関係で」とすぐメールが来た。


そこで私は喧嘩をふっかけた。「今まで何度も何度も嘘をつかれてますから、信じられません」


その後しばらくメールも電話も途絶えた。



数日過ぎてメールが来ても電話があっても一切無視を決め込んだ私。



「大阪に来ています」
「宮城県に行きます」
とぽつんぽつんとメールは来たけど返信はしなかった。



ホワイトデーの事は気にもしていない。
でも、それは杉原さんには言わなかった。
それに執着するような私じゃない事は杉原さんも知ってるはず。


私は、何故だか距離を置いてもいいかなって思い始めていた。