杉原さんは、私と逢う日は早い時間にメールで連絡をして来る。

「今日、逢えますか?」

「待ち合わせ時間と場所を教えて下さい」

こんなやり取りから始まる。

私もその日の段取りが出来るから早めの連絡はとっても助かる。


社長業に一所懸命みたいだし、休みの日はゴルフの予定も多い。


ゴルフの予定がない時には食料や飲み物をたくさん調達して来てくれて朝の10時位からラブホで夕方まで過ごしたり。


休日の晩ご飯、私とばかりじゃダメだと思うから、自宅で食べるように言ったりしている。


杉原さんは少し変わった。

息子さん夫婦と同居した事が最大の理由だと思う。
お嫁さんを気に入っているようだし、孫も可愛いようだ。
奥様との会話も増えたみたい。


私は、杉原さんが奥様の話をしても気にもならないし、逆に仲良くするようにすすめている。


早めの帰宅を心掛けているようにも思える。


何だか微笑ましささえ感じる変な私。


前は、夜中でも平気で私を呼び出した。
自宅まで迎えに来させたり、送らせたり、何か必要な物を持って来させたり…
当然、奥様や当時は娘さんも在宅していたのに。


家族をいたわるようになった杉原さん。
息子さん夫婦のおかげかな。





家の近くの焼肉屋さんから出て来る杉原さんの家族を目撃した日の深夜2時過ぎにメールの着信音がなり響いた。



誰?こんな時間に!



杉原さんからだった。



「おやすみ」
とだけ。



「こんな時間にどうしたの?」
と返信したら、
「眠れない」
と返って来た。



早起きな杉原さんだし、焼肉屋さんでいつもなら生ビールを三杯くらいは飲むし、眠れないなんて…



「何も考えないで目を閉じて深呼吸して下さい。すぐ眠れますよ。明日は仕事とかゴルフはないのですか?」
と、適当な言葉を送った。



「親戚の結婚式に出ます。○○駅裏のホテルで。Hしたら眠れるかも」



「あのホテルでの結婚式は今、人気あるみたいですね。確かにHしたら特に男の人は眠れるかもね」



「Hしたい。明日、終わる頃にホテルまで迎えに来てくれないか?」



以前は、よく杉原さんを色んな所へ送ったり迎えに行ったりしたなぁ。
当時の事を思い出した。



「時間の連絡を待ちます。迎えに行きます。行きは大丈夫ですか?もう3時ですよ。休んで下さい。おやすみなさい」



こんな夜中にいい年して何をメール交換してんだ?って思いながら、焼肉屋さんの駐車場で見た杉原さんの姿が目に浮かんだ。






ある土曜日、休日出勤をして会社から自宅に帰る途中に、自宅近くの焼肉屋さんの横を通った。

杉原さんと三回目の付き合いが始まった日に一緒に行ったお店。


うん??
駐車場に停まっているこの車、もしかして杉原さん?
この停め方、いかにも杉原さんらしいし。

まだ少し明るい時間帯だった。


あれ?と思いながらも、そこから自宅まで車で1分かからないし、出掛ける用事もあったので家に戻って着替えたり準備をした。


出掛ける時間になり、気になってわざと焼肉屋さんの横を通るように車を走らせた。


丁度、お店から数人が出て来た。
私は信号待ちしながら出て来た人達を見た。


杉原さんだ。


息子さんとお嫁さんと一緒。お嫁さんは子供さんを抱っこしている。


息子さんが杉原さんの車を運転するようだ。
杉原さんは、自分の孫を抱っこしているお嫁さんの為に後ろのドアを開けている。
開けながら私の方に視線を向けたように思えたが薄暗くなっていたしわからないはず。


信号が青になったので私は焼肉屋さんの前を通るように右折した。


遅れて杉原さんの奥様がお店から出て来られた。
支払しておられたのかな?
家族皆で食事していたみたい。


私はそのまま通り過ぎて目的地に向った。



家族と一緒で安心した…っていうのが私の本心。
もし、他の女と一緒の所を目撃したとしたら金輪際連絡は断つ。



息子さん夫婦と同居して、孫も生まれて可愛い頃、家族を大事にするようになったのかな…



奥様には、正直、悪いという気持ちは全くない私。
でも、家族を、奥様を優先しても嫉妬はしないし、反対に嬉しく思う。



その次の日に杉原さんに逢ったが何も言わないし私も黙っていた。