「さっきのハート型の池を一緒に見たカップルは幸せになれるって言われているみたいだよ」


「そう…」


「うん!」
お風呂の準備をしながら、大輔が言った。


一緒に見たカップルが幸せね…


私達は違うでしょ?


まだこだわっていた私。


深入りしないうちに距離を置いた方がお互いに傷付かない。


大輔は結婚適齢期。
私との付き合いは大輔にとっては寄り道、遠回り。


いくら大輔本人が良くても…


大輔は県内で「頭が良いのね」と言われる学校の出身。賢いはずだ。


いくらなんでも、将来私と結婚するつもりはないだろう。


じゃあ、なぜ?


結婚を考えるような相手が現れるまでのつなぎ?


本心がわからない。




「今からデートしましょう」と大輔からの電話。


余りにも言うので私はオッケーしてしまった。


また同じ駐車場で待ち合わせをした。


話をしながら大輔の運転にまかせてドライブした。


着いたのは郊外の公園みたいな所。


「ここ知ってる?来たことある?」


「ううん、変わった名前の所だなって思いながら素通りしてたよ」


「あのね、ここの階段を登って行って、下を見たら池がハート型なんだって。知ってた?」


「そうなんだ。何か聞いたことあるようなナイような」


「登ってみようよ」


大輔はそう言いながら、私の手を引っ張り階段を登り始めた。


割と急で段数が多い。


手をつなぎ、はぁはぁ言いながら登った。


暗いのに他にも人がいた。


息切れしながらも登り切った時、大輔が「ほらねっ!やっぱりハートだよ」と言った。


「本当だ~」


暗くてよくわからなかったが、アスレチックがあったがさすがにチャレンジしなかった。


また手をつなぎながら階段を降りた。


久しぶりだな、手をつないで歩くのって…


私は手をつないで歩くのが好き。


杉原さんは酔っている時に手をつないでくれた。


坂井さんは車の中で手をつないでくれた。


年甲斐もなく、大輔が手をつないでくれただけでうれしかった。


公園を出て、大輔の車に乗った。


「ちょっと疲れたね」と大輔が言った。


「私は運動不足かな、結構しんどかったよ。でもたまにはいいかな」と私は答えた。


そしてちょっと遅い晩ご飯を食べた。


また二人で三人前以上頼んでお腹がいっぱいになった。


黙って大輔はラブホに向かった。


「いい?」着いてから言う。

日曜日とは違うラブホ。


そうだ、あれから1週間も過ぎてないんだ。


一度だけ…と思っていたのにまた逢っている。


メールで「寄り道しないで」と私が自分で言ったのに…大輔に寄り道させている。




◎いつもたくさんの皆さんにアクセス頂きまして感謝しています。私の住む地域は大雪です。一人暮らしの私は除雪が大変です。以前は杉原さんが心配して自宅まで来てくれました。今は会社の人に頼っています。◎



次の日から大輔から毎日電話とメールがあった。


仕事が終わったら必ず電話がある。
私はほとんどまだ仕事中。

夜、メールでのやりとりが続く。


私はわざとぶっきらぼうな返事。

大輔が「今度○○しよう」「○○に行こう」等と次のデートのプランを練って連絡して来る。


「機会があったらね」と私。


そしたら、「どうしてもう逢わないみたいな言葉ばかりなの?」と。


「お互いの為にもう逢わない方がいいと思う。あなたは寄り道しないで自分にふさわしい相手を探してね」


「俺は逢いたい人と逢う。寄り道なんて言わないで下さい。好きな人とか付き合っている人はいないのですよね?」


「付き合っている人は、今はいないよ。でも、前に付き合っていた人は今でも好きです」
杉原さんのこと…
あれほど辛い思いをさせられたのに嫌いにはなれない。好きな気持ちは残っている。でも許せない。
複雑な想いがあった。


「今は二番目でも三番目でもいいです。順位は自分で自分が上げるから」


困ってしまった。


初めてデートした週の土曜日の夕方、大輔から電話があった。


「今からデートして下さい」


「えっ?今から?」


「何か予定あります?」


「ナイけど…」


「じゃあ、デートしましょう」


大輔の粘り勝ち。


また同じ駐車場で待ち合わせをした。