なんだかイライラして、なによりその話の続きをするのが少し怖くて、私は「ふ~ん」と言ってもう一度作業を再開した。
ふたたび静かになる。
ふと、坂本の手が視界に入る。「あれ?」
思わず声が漏れた。坂本が顔を上げる。
「なに?」
「坂本って左利きじゃなかった?右やったっけ?」
あー、といって、坂本が自分の左手をみせてきた。
「体育でな、つきゆびっぽいことしてん。まだちょっと痛くて。もともと両利きやから、助かった」
「へぇー」
言われてみれば、今日一日坂本は時折左手をじっとながめていることが多々あった気がする。
あれはいたかったからなのか。
「なぁ。結城は?」
ふいに坂本が問いかけてきた。
「好きな奴おるん?」
え、と声を発する前に、かぶせて坂本が問いかける。
「え――・・・・・・」
好きな奴?
「いなさそうやんな。彼氏出来なさそー」
唇の端をつり上げてにやにや笑う坂本にむっとくる。
本当はいないのだけれど、なんだか悔しくてわたしは思わず「おるし!」と見栄を張った。
「え、そうなん?」
「そんくらいおるよ」
言ったところで、作業が終わる。坂本ももうおわっていたみたいだった。
「よっしゃ終わった。帰ろ」
「ちょっとまってや。好きな奴言ってから帰れ」
スクールバックに荷物を詰め込んでいるわたしの手を、坂本が力強くつかんだ。
掴まれた部分が、熱い。
「な、なんでそんなん言わなあかんの?」
「気になるからやん」
「言いたくないし」
「じゃあ俺の好きな奴言うからお前も言え」
どくん。
心臓が、一回、大きく波打った。
自分でも驚くほど体が熱い。
「い、いいよ。坂本の好きな子ってまおちゃんやろ?」
こんにちは。ぴーなっつです!
第三回目でございます。次の話で終わりになると思います![]()