「は?」
拍子抜けしたような声が坂本の口から洩れた。
意味が分からないとでもいうような困惑した表情でわたしを見る。
「なんで藤塚?」
「え、だってさっきまおちゃんの話しふっかけてきたやん。しかもその時顔真っ赤やったし。そんなんうちでも気付くし」
「あれは、お前が」
言いかけた口をつぐんで坂本はうつむく。
「おまえが、なによ」
沈黙。
坂本はわたしの手を離さない。
「なんなん?なんで黙んの?」
うつむいた坂本は、なにか迷っているみたいだった。
何も喋ろうとしない坂本にいらだつ。
「・・・・帰るね。坂本、て、はなして」
坂本はまだわたしの手を離さない。
「坂本」
離そうとしない坂本の手を、むりやりふりほどいた。
机に投げ出された筆箱をスクールバックに無理やり詰め込む。
「告白された」
一言。
スクールバックに手をかけたところで、やっと坂本が口を開いた。
「藤塚に、告白された。やから、藤塚のことを聞いた」
坂本を振り返る。
坂本はまっすぐにわたしを見ていた。
「そ、そんなん言ってくれたらよかったのに・・・」
「藤塚に悪いとおもってん。そんなホイホイ言うもんじゃないやろ?」
「へ、へぇ・・・。そっか。いいんじゃない?」
この場に居たくなかった。
ああ、まただ。
頭の中を黒いもやもやとしたものが押しつぶしていく
「いいんじゃないって、なに?」
「え、まおちゃんと、坂本。まおちゃんかわいいし、よかったやん。付き合ったら?」
「・・・・ほんまにいってんの?」
坂本の顔が少し悲しそうに見えて、思わず目をそらした。
なんなん、今の顔。
「な、なに?嘘言うわけないやろ」
「俺と藤塚がつきあっても、結城は何にも思わん?」
「は?別に関係ないやん、私には」
言うたびに胸がチクリと痛む。なんでこんなに胸が痛むの。
本心だ。これは。
本心の、はずだ。
「・・・そろそろほんまに帰らなあかん。塾や」
「ああ、ごめんな。呼びとめて・・・」
いいよ、とかぶりをふってスクールバッグしっかりと持つ。
今度こそ坂本は呼びとめたりしなかった。
「じゃあね」
「あ、ちょっとまって。ほんまにあと一個だけ聞かせて」
「なに?」
「結城の好きな奴って、もしかしてすがちゃん?」
おどろいた。そこで菅田のなまえがでてくるとは思わなかった。
菅田あつしは、わりかし仲の良いクラスメイトだ。
音楽の趣味が合うから、よくCDを貸しあったりする。そこそこ人気がありモテる。
ふっと笑って、うなずいた。
「秘密やからな?」
「へえ、そうかそうか。すがちゃんか。ならしゃあないなぁ」
力が抜けたようにへらへら笑う坂本。
『ならしゃあないなぁ』。
一瞬ひっかかったその言葉。
それでもわたしは気がつかないふりして、再度じゃあねと告げた。
教室から出て、戸を閉める時、そっと教室の中を見た。
坂本は窓の外を見つめているようで、ここからは表情が見てとれなかった。
バン。
戸が閉まる。
なにかが終わった音のように思えた。
次で終わるとかいってましたが終わりませんでしたすいません
まとめられなかったです・・・・。
次回はほんとのほんとに終わります!
