【監督】ホン・サンス
【原題】Walk Up
【制作国】韓国
【上映時間】97分
【配給】ミモザフィルムズ
【出演】クォン・ヘヒョ(ビョンス)
イ・ヘヨン(ヘオク)
ソン・ソンミ(ソニ)
チョ・ユニ(ジヨン)
【公式サイト】
題名の「WALK UP」の言葉通り、階段を段々と登っていく映画でした。そして階段を登るたびに時空が歪むのか、同じ場所なのに別の世界線に移動しており、穏やかなギターの調べと白黒映像という舞台装置とは対照的に、不思議な世界を体験したという感じがした作品でした。
コロナ期間中の韓国のお話なので、まさに現代劇ではあるのですが、敢えて白黒で撮影し、(実際は普通の建物なのかもしれないけど、白黒で撮影しているためか)石造り感のある建物の室内が主な舞台であったこと、ギターの柔らかい音楽が所々で流れること、時間の流れがゆったりとして、どこか幻想的な印象があったことなどから、50年くらい前の南欧の映画なんじゃないかと錯覚させられた作品でもありました。
そうした舞台装置と、階段を登る度に世界線が変わる展開から、実は全て夢の中の話なんじゃないかと思えてきて、狐に鼻を摘ままれた感もありました。まあ悪く言えば、意味不明と言えなくもないものの、”一炊の夢”の故事が思い出されもし、中々味わい深い作品でした。
韓国映画というと、派手なアクションと後半の大爆発が定番と思っていましたが、こんなに静かで、それでいて目が離せない展開の作品に出会えるとは思えませんでした。
そんな訳で、本作の評価は★4とします。
総合評価:★★★★
詳細評価: