【監督】三木康一郎
【原作】鳥飼茜「先生の白い嘘」
【制作国】日本
【上映時間】117分
【配給】松竹ODS事業室/イノベーション推進部
【出演】奈緒(原美鈴)
風間俊介(早藤雅巳)
三吉彩花(渕野美奈子)
猪狩蒼弥(新妻祐希)
【公式サイト】
撮影の際に、主演の奈緒がインティマシー・コーディネーターをいれるよう申し出たものの、三木康一郎監督が断ったことが報じられ、公開初日から場外戦が繰り広げられてしまった本作でしたが、公開初日に観に行って来ました。
インティマシー・コーディネーターの件はまずは脇に置くとして、内容的には疑問符がたくさん付くお話でした。その疑問符の最大のものは、主要登場人物のキャラクター設定やその内心が謎というもので、特に奈緒演じる美鈴をレイプし続ける早藤の位置づけが、本当に理解できませんでした。本作の売り文句としては、「男女の性の不条理に切り込む衝撃作」ということのようですが、レイプにより最終的に塀の向こうに行くことになる早藤という人物を男性の代表選手に起用されても、「はいそうですか」と簡単に同意できるものではありません。
もちろん塀の向こうに行かずとも、強引に性交渉を迫る男は腐るほどいるとは思いますが、そうは言ってもみんながみんな塀の向こうまで行く訳ではありません。そんな中で、塀の向こうまで行ってしまうような人物を「性の不条理」という普遍的なテーマを扱う作品に登場させた理由を、もっと説明して欲しかったなと感じたところです。彼が何ゆえに嫌がる女を犯すことしか考えていないのか、その動機とかなんなら彼の生い立ちに潜む事情などを、もう少し掘り下げて貰わないと、早藤というキャラクターは単なるモンスターにしかなりえないと思います。
ところが、少なくとも作中においては、美鈴は早藤に対して、「あなたを許す」と発言していたし、彼の妻になった美奈子に至っては、「私がいないと彼はダメなの」とまで発言させていました。親友に対して、レイプどころか暴行まで働き、下手したら殺していたかもしれないような人物を愛し続けられる理由も、単に子供がいるからということだけでは説明できないように感じました。
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