【映画】朽ちないサクラ~実質的な主役は安田顕だったかも | 鶏のブログ

鶏のブログ

観た映画、読んだ本などについてのメモです

【監督】原廣利

【原作】柚月裕子「朽ちないサクラ」

【制作国】日本

【上映時間】119分

【配給】カルチュア・パブリッシャーズ

【出演】杉咲花(森口泉)

    安田顕(富樫俊幸)

    森田想(津村千佳)

    豊原功補(梶山浩介)

【公式サイト】

 

昨年の「市子」で大ファンになった杉咲花主演の作品でした。彼女が出ているという理由で観に行ったので、あまり他の出演者を気にしていなかったのですが、実際観たら遠藤雄弥と森田想という「辰巳」で共演していたお二人も出演しており、安田顕や豊原功補、藤田朋子ら有名どころも含めて、中々のキャスティングでした。また原作も「孤狼の血」の柚月裕子と、こちらも期待が持てそうなお話。果たしてそんな本作を観た結果は如何に?

 

まず俳優陣については、お目当ての杉咲花は「市子」や「52ヘルツのくじらたち」ほどの重た~い役ではなかったものの、相変わらず感情表現が素晴らしく、言うことありませんでした。最近はテレビで「アンメット ある脳外科医の日記」をずっと観ていたせいで、ソバカスのあるお顔がお馴染みになっていましたが、本作ではそうではなかったので、逆に新鮮でした。

「辰巳」では取扱注意のグレた少女を演じた森田想は、序盤に殺されてしまうものの、物語の中心にずっと居て、特に杉咲花が演じた泉と、文字通り彼岸で邂逅したのは非常に印象的なシーンでした。豊原功補は、捜査一課の熱血刑事。最初は泉を下に見ていましたが、彼女の熱意に絆されて徐々に優しさを見せる演技は中々のものでした。

そして安田顕。泉をフォローする良き上司でしたが、実は彼には重大な秘密があったということが徐々に明らかにされて行きました。問題というべきか何というべきか難しいところですが、物語的には泉ではなく、安田顕が演じた富樫の方が実質的な主役という感じでちょっと驚きでした。というか、そもそも題名自体彼の背負っているもの(公安=サクラ)を象徴していた訳ですから、最初から種明かしされていたと言えばそうなのかも知れませんが。

あと、森田想演じる千佳の母親役を演じた藤田朋子ですが、娘を殺された母親役なので、やつれているのは理解できるのですが、ちょっと老けメイクし過ぎという印象でした。あんなお婆さんみたいなメイクが必要なら、もっと年相応な人がいたように思わないでもありませんでした。

 

長々と俳優陣について書いてきましたが、肝心のお話については、ちょっと今ひとつでした。登場する団体としては、警察とオウム真理教をモデルにしたと思われる宗教団体で、警察とヤクザが登場した「孤狼の血」とは構造的に似ている感じでしたが、この宗教団体の描き方が浮世離れし過ぎているというか、唐突過ぎる感じがして、全くリアリティが感じられなかったのが残念なところでした。「孤狼の血」のヤクザの描き方は、ヤクザなりの人間味が感じられましたが、本作の宗教団体の描き方は、その部分だけオカルトになっていて、どうにも同意しかねるところでした。この辺りの描き方にリアリティが感じられれば、かなり印象が違う映画になっていたのではないかなと思うところです。

 

そんな訳で、杉咲花をスクリーンで観られたことには大満足でしたが、ストーリーにはあまり嵌らなかったので、本作の評価は★3とします。

 
総合評価:★★★

詳細評価:

物語:★★★
配役:★★★★★
演出:★★★
映像:★★★★
音楽:★★