【映画】ミステリと言う勿れ~観客にも手掛かりを提示するフェアなミステリー | 鶏のブログ

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観た映画、読んだ本などについてのメモです。
”ネタバレ”を含みがちなので、その点ご容赦下さいませ。

【監督】松山博昭

【原作】田村由美

【制作国】日本

【上映時間】128分

【配給】東宝

【出演】菅田将暉(久能整)

    原菜乃華(狩集汐路)

    松下洸平(車坂朝晴)

【公式サイト】

 

田村由美原作の同名の漫画をフジテレビがドラマ化。さらに映画化されたのが本作ということでしたが、漫画もドラマも一切観ておらず、ただただミステリー映画ということだけで観に行きました。結果として、原作を読んでいなくても、ドラマを観ていなくても、本作を観る上で殆ど何の支障もなく、純粋に1本の映画として楽しめました。

特に推理物として重要な、観客にも事前にきちんと手掛かりを提示するという基本に忠実で、菅田将暉演じる探偵役・久能整による謎解きを聞いた時の納得感は非常に高いものがありました。こういうフェアなミステリーはいいですね!

また、地方の旧家における遺産相続をテーマにしていることから、予告編でも「犬神家」というフレーズが出て来て金田一耕助ファンの心理をくすぐっていました。探偵物の古典とも言うべき「犬神家の一族」の向こうを張ったキャッチフレーズにそそられた反面、フジテレビによるドラマ化という点でなんとなく嫌な予感がしないでもなかったのですが、それは概ね杞憂に終わりました。物語の要素としては、「犬神家の一族」に「八つ墓村」のエッセンスを足した感じになっていましたが、その辺りも面白かったです。

 

逆にちょっと気になった点もいくつかありました。一つ目は、「犬神家の一族」ばりに冒頭で行われる遺言書の読み上げシーン。4人の相続候補者に対して、謎を解いた1人を相続人とするという内容の遺言でしたが、そもそもこんな遺言書が法的に有効かは極めて怪しく、もう少し法務チェックを受けた方が良いんじゃないかと思いました。

また、これはテレビドラマからの流れを意識したもののようですが、本編とは直接関係のない警察関係者(伊藤沙莉、筒井道隆、尾上松也)がエンディングに登場したのは蛇足だったように思います。まあテレビシリーズを観ていた人にとってはお馴染みのキャラクターが登場して良かったのかも知れませんが、ストーリーと関係ない顔見世興行をエンディングに持って来られては、折角の余韻が消し飛んでしまうように感じられました。

 

そんな訳で評価は★3とします。

 

総合評価:★★★

詳細評価:

物語:★★★★
配役:★★★★
演出:★★
映像:★★★★
音楽:★★★

 

原作を読んでないので何とも言えませんが、表紙の絵を見る限り、菅田将暉の久能整の再現度はかなり高そうですね。