【映画】 シネマ歌舞伎 スーパー歌舞伎2 ワンピース | 鶏のブログ

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(1)総評 ★★★★☆

 歌舞伎とマンガの融合というのはなかなか興味深かったので見に行きましたが、私も含めて原作をよく知らない観客向けなのか、やたらと説明のためのナレーションが入っていたのに驚きました。確かに原作を知らない人にとっては、説明してくれないと訳が分からんということもあるので仕方ないとは思いますが、あまり説明が立ちすぎると興ざめするということもあるので、その点は改善の余地があるように思いました。
 
 芝居そのものについては、演者が舞台狭しと走り回っており、その辺は現代劇的でしたが、要所要所で見得を切って歌舞伎らしさを出しており、歌舞伎とマンガの融合と言う実験的挑戦は一定の成功を収めたという感じがしました。滝のような水が流れるシーンも圧巻でしたね。
 
 ということで、猿之助の挑戦と演者の奮闘に敬意を払いつつも、説明をなんとかして欲しいという思いを込めて★4つの評価としました。
 
 余談ですが、今回シネマ歌舞伎として上映されたのは平成27年に公演されたものだそうです。猿之助が公演中に大怪我をしたのは平成29年の公演の際だとのこと。2回目の公演があったと言うことは、怪我は別にして興行的には良かったんでしょうね。

 

(2)物語 ★★★☆☆

 原作は現在のところ92巻にも及ぶ大長編なので、その一部が公演されたのは言うまでもないところ。忠臣蔵だって全編やらないことがあるので、それは同じこと。しかも一応の大団円を迎えて終了となる創りとなっているので、その点分かりやすかったと思います。
 
 かつてジャンプには、 「友情、努力、勝利」というキーワードがあったようですが、ワンピースの場合は「仲間」というのがキーワードとなってました。リアルでは人と人の関係が薄れる時代にあって、根源的に人間は一人では生きられないことを、この漫画が長きに渡って支持されている原因なんでしょうね。
 

(3)配役 ★★★★☆

 主人公ルフィ役の猿之助はもちろん良かったのですが、ニコ・ロビン役の市川笑也はホントに美しかったですね(笑)
 

(4)演出 ★★★★★

 ファンタジー漫画の実写化、演劇化は特に難しいと思いますが、歌舞伎と言うツールを使うことで、ある意味壁を越えていたように思います。例えば、ルフィの腕が伸びるシーンも、黒子を使うことで上手く表現されてました。
 また、原作のキャラクターに似せる努力はなかなかのものでした。
 

(5)映像 ★★★★☆

 生で見たらさぞや迫力があったろうにと思いました。今度行ってみたいですね。
 

(6)音楽 ★★★★☆

 ゆずの北川悠仁が手掛けた主題歌「TETOTE」は、曲そのもののテンポも良かったし、スピード感のある演技にもマッチしていました。