ここ数日、秋らしい乾いた空気が気持ちいい日が続いた。
でも、今日はもう少し蒸し暑い。
天気予報で秋らしい空気から湿った空気に入れ替わるらしいとわかったので、涼しいうちにと北八ヶ岳に行った。
歩いたのは、麦草峠を起点に茶臼山、縞枯山から雨池をめぐるコース。
前々からいずれ歩いてみようと考えていた、山からの展望と深い原生林という変化に富んだコースだ。
この日は3時半に起き、4時過ぎには出発した。
麦草峠の駐車場には7時10分に到着。
7時20分には歩きはじめた。
国道を横切って北に入るとすぐに茶水の池という小さな池がある。
そこで、道は雨池方向と茶臼山方向に別れ、私は左の茶臼山へとむかう。
コメツガやトウヒ、それにダケカンバなどの原生林の森に入り、大石峠というところで分岐を右に進む。
そのあたりから斜面の登りにかかり、足元は火山らしい大きな石がごろごろして歩きにくくなる。
そのことは予想していたので、ダブルストックで歩いた。
出発して35分で最初のピーク、中木場の岩場(2230m)についた。
北八ヶ岳は深い原生林に覆われているが、ところどころこうした岩場があって、
そこが展望地になっていることが多い。
岩場からはこれから登る茶臼山とその右に縞枯山を望むことができた。
この日はいい天気だ。空気もさらっとしているし、朝も早いので山を隠す雲も少ない。
南をみると東西二つのピークからなる天狗岳が見える。
まだ標高が低いのでその南にある赤岳などの八ヶ岳核心部は見えない。
南アルプスから中央アルプスなどの展望も得られたが、写真は割愛する。
この先でもっとよい展望写真が撮れたから。
岩ゴロゴロが続く道をゆっくり登る。
歳をとってバランスの悪くなった私は、こういう道ではストックは欠かせない。
原生林の林床は豊かな苔の世界。
茶臼山山頂部に到着。そこは深い森の中の小さな広場だ。
道はここで右に折れて縞枯山へと向かうが、
その前に直進して山頂でもある展望台へとむかう。
8:44、茶臼山展望台(2383m)に到着。
ここは素晴らしい展望台だ。
八ヶ岳南部から北アルプスの槍ヶ岳までが一望なのだ。
まずは八ヶ岳核心部の山々。
秋らしい筋雲が広がる空の下に、硫黄岳、横岳、赤岳、阿弥陀岳。
八ヶ岳の右奥には南アルプスの甲斐駒ヶ岳、北岳、仙丈ケ岳。
こちらは中央アルプスの山々。
これは、今年夏に登った木曽の御嶽山。木曽の御嶽山、2日目(2025年8月9日) | 毎日が山のこと
海に浮かぶ大きな島のようだ。
その右には乗鞍岳。手前は鉢盛山。
乗鞍岳の右には北アルプスの穂高連峰と槍ヶ岳。
低いところに雲があるが、まだ朝の9時前なので低いところにとどまっている。
赤みがかった岩や歴が散在する展望地の北外れに岩場があった。
そこが茶臼山の最高地点でもあるようだ。
その岩場を回り込むと北八ヶ岳の蓼科山と北横岳が見え、縞枯山の深い森の斜面が見渡せた。
この展望台は、平らなところも広がっているのでのんびり展望を楽しむにはとてもいいところだ。
しかし、食時にはまだ早すぎるので写真を撮り終えると次の縞枯山へとむかった。
いったん鞍部までくだる。
縞枯山の名前のとおり、縞枯れと呼ばれる枯れ木地帯がある。
鞍部では西に五辻へとくだる道が分岐している。
縞枯山は茶臼山よりほんの少し高いだけ。
茶臼山から30分あまりだ。
縞枯山の展望台(2387m)は、北西から南東へと広がる山頂部の南東の端にある。
すぐ目の前に今登ってきた茶臼山。いかにも若々しい火山の姿だ。
登るには少し単調だが、眺めるには明るさを感じて私は好きだ。
奥に八ヶ岳核心部の山々。
もちろん南アルプスや中央アルプスも見渡せるが、先ほどより少し雲があがってきていた。
岩場の一番奥まで行くと木々の間から北東方向に浅間山も見えた。
展望台を後にして広い山頂部を最高点のある北西へと歩くと
途中にふたたび縞枯れ地帯があった。
ほかの縞枯れ地帯では若い木が育ち始めていたが、
山頂部のために風が強すぎるのか枯れ木ばかりだ。
10時ちょうどに縞枯山の最高点(2401m)である北西端に到着。
ここから急な下りだ。
最初は大きめの礫まじりの道だが、すぐに岩ごろごろの道となった。
10時24分、雨池峠に到着。
ここを西に向かえば坪庭とロープウェー乗り場へむかう。
私は、東の雨池へとむかった。
しばらくは平坦で立派な木道があって歩きやすかった。
雨池への下り斜面の手前で道は旧道と新道に分かれていて、案内板は新道をすすめている。
旧道を見ると草に覆われた中にかなり大きな岩がごつごつと続いてとても歩きにくそうだった。
もちろん指示に従って新道をくだる。
原生林の中を切り開かれた新道はまだできたばかりという若々しさと荒々しさで、
複雑に木の根方を上り下りしたり曲がりくねったりを繰り返すが、
細いロープが張られているので迷うことはない。
雨池峠から私の足で23分で林道に出た。
雨池への入り口まで12~3分林道を歩く。
林道を歩くとこれまでと違って空が見える。
カンバ類などの木の葉が色づき始めていた。
林道から左下へと下る道に入り雨池をめざす。
林床の苔に小さなキノコが。
見上げるダケカンバもほんの少し色づき始めている。
雨池に出た。地図から想像していたよりずっと開放的だ。
それに水が少なくなっていて周囲を自由に歩きまわれる。
もともと岸まで水がいっぱいになることはないようだが、
岩についている模様からして普段より10センチ以上水面が下がっているようだ。
水面に近い場所までいって、腰かけやすそうな岩をみつけて昼食休憩とした。
あたりには10名くらいの人が休憩していた。
多分麦草峠から直接ここへハイキングしてきた人たちと思われる。
15分ほどで出発。
池の中を歩いても出口がわからないかもしれないし岩もごろごろして歩きにくそうだと思って、
登山道にもどり、池の縁の森の中についている道をたどって麦草峠にむかった。
途中、折れたダケカンバの幹にオレンジ色の巨大なキノコが。
ネットで調べてみたらマス(鱒)タケというキノコらしい。
色がサーモンピンクだからと書いてあったが、シャケではなくて鱒なのだね。
食べられるみたいだ。
しばらく荒れた感じの道を歩き、池にそそぐ小さな川を迂回したりして池の南端に出た。
そこから池と北横岳の一角である三ツ岳と大岳を望む。
すると先ほどの人たちが池のほとりを歩いてやってきた。
岩がゴロゴロしていたのは休憩した付近だけだったようで、ほかは写真のように歩きやすい土の地面だった。
それに池の周囲を歩いたほうが距離も近いようだった。
池を離れ、樹林におおわれた木道や岩まじりの土の道をたどって先ほどの林道に出る。
しばらく林道を歩いて、今度は右手の斜面を登る山道にはいり、麦草峠へとむかう。
ゆるやかな登りの道がしばらく続き、やがて水平になり、こんどはゆっくりと下り始める。
立派な木道があらわれると峠はもう遠くはない。
12時45分、峠のすぐ北にある茶水の池に戻った。
向こう側の林の間から国道を走る車も見えた。
この日は、一日中さわやかな気持ちのいい天気が続いた。
暑くもなく寒くもない。歩くとほんのり汗ばむ程度で楽しく歩くことができた。






































