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「え、***なの?!」
マスターの退院祝いをしようと勝手にクロフネを使い、準備をしていたオレ達だった。そこに訪れたサプライズ
「***〜、こんなに大きくなって兄ちゃんは嬉しいぞ!」
「いや フツーの成長だろ。***、久しぶり。」
「懐かしいーー!面影あるね!」
まさかの幼なじみと再会だ。マスターそっちのけでリュウ兄も剛史もオレも***を囲む。
「覚えていてくれてるんだ!嬉しい。」
照れくさそうに笑う笑顔が変わっていない。オレ達は揃いに揃って嬉しくなった。
「僕のこと覚えてる?二人でよくおままごとしたよねー?」
特に理人は***にまとわりついた。オレ達のなかでの末っ子だ、***に気にかけられていた記憶があるんだろう。
「もちろん覚えてるよ、りっちゃん!」
無邪気な笑顔が弾け合いなんとも微笑ましい。
なんか…素敵な女性になったなぁ。
***は子どもの頃、一拍遅れて小さく笑う子だった。オレ達の背に隠れるような恥ずかしがり屋だったよな。
だが年月は彼女を変えている。立ち方も話し方もずっと落ち着いていて、場の空気を読んで皆の声に耳を傾けしっかりと目を見つめている。それでも、
「短いあいだですが、よろしくお願いします。」
大人の表情のなかにふっと顔を出す愛らしさ…そこは変わらなくて、良かった。
「理人ジャマ。どけよ。」
「ちょ…!」
「コラコラ一護。」
手を取り合う二人をわざわざ割かなくても。
奥のソファにふんぞり返った一護は彼女と病室で偶然出会ったらしい。マスターと三人で帰って来て、『コイツ、***。』なんて紹介するからオレ達驚いたもんだ。
「いい加減食おうぜ。マスター待ちくたびれてんだろ。」
オレ達の用意したオードブルを前に既にマスターはソファで待機中。
エプロン姿のリュウ兄に背を押され皆が奥のソファ席に腰を下ろせば、
「皆グラス持ったかー?よし、ジョージ退院おめでとう、そして***、おかえり!」
さぁ、パーティの始まりだ。
・・・・
皆最初こそ少し遠慮がちではあったが、マスターの入院話から始まり、***が居候する経緯、子どもの頃の思い出まで盛りだくさんだ、語り始めればすっかり場は和む。
「そうそう、年長の時に引越したんだよね。」
「うん。お別れの時ハルくんお花くれたよね。」
覚えていないことを話されると恥ずかしいやら嬉しいやら。
「吉祥寺に住んでいたっていうのは聞いてたけど、まさかお前らと遊んでたとはな。」
打ち解けていく様子にマスターも機嫌が良い。リュウ兄のお手製野菜スープが相当美味いってのもあるかな。
「だから一護と病室で会った時二人して難しい顔してたわけだ。誰だっけ?みたいな。」
そう問いかけたが、
ん?
一護も***も曖昧に頷くだけで。
「なになに。隠し事は無しだよ、なんかあったの?」
こういう時理人のアンテナは敏感だ。すぐに反応した。
二人は遠慮がちに目を合わせる。そして***が切り出した。
「駅で困っていたら…一護ちゃんが助けてくれたの。」
「困ってた?」
「迷子?」
身を乗り出してしまう。***は瞳を揺らしたが、
「絡まれたというか…。」
小さく答え、一護の横顔をチラッと見た。
「あ、ナンパ?え、いっちゃんに助けられたの?!」
「うん。知り合いのふりをしてくれて。」
理人は目を丸くし立ち上がった。そして、
「あり得ない!この人そういうことするタイプじゃないけど!」
「おい。」
失礼なことをデカい声で言うからオレ達爆笑というか。
まぁこんな感じのオレ達だから***も早くに緊張は緩んだろうな。
「***ちゃん、なにか見返り求められなかった?大丈夫??」
「あのな、お前俺をなんだと思ってんだよ、っつかさっきからうるせーんだよ!」
二人のやり取りを***がホント可笑しそうに笑うからオレ達まで大笑いしてさ。
・・・・
「竜蔵、スープ美味かったぞ。」
「ジョージが喜んでくれりゃ感無量だぜ、作った甲斐があったな!」
宴は随分と盛り上がった。だが病み上がりのマスターではあるし、オレ達は空いた皿をまとめ始める。
「空いたお皿くださーい。」
***は既にバイトの顔だ。トレイに載せ、カウンターに持って入った。
「悪いな、***ちゃん。」
「全然。ジョージさんも皆もゆっくりしてて。」
甘えてしまうオレ達。***は皿を洗い始める。
「ねぇハルくん、***ちゃんいい子のままで良かったね。」
「ね。」
コソッと理人と笑い合った。
「そういえば一護、メール見なかったのか?マスター今日退院だから行っても意味ねーって送ったろ。」
剛史が残っていたポテトを頬張りながら聞く。一護は徐ろに携帯を取り出した。
「あー、電源切ってたわ。…。」
ん。
一護は携帯を手にしたまま腰を上げた。そして片手に空いたグラスを持ち、そのままカウンターに向かう。
もっと持って行けよとオレも席を立ち、何枚か皿を重ねあとを追ったが、
「***、番号教えて。」
え。
一護の声に立ち止まった。
こちらに背を向けている二人だし、皆はまたワイワイ話し始めたから聞こえていないだろう。だけどオレには聞こえてしまう。
「明日この辺案内してやろうか。」
え。
「まだ店開けねーんなら、どうせ暇だろ。」
「言い方。でも嬉しい、いいの?」
「ああ。電話する。」
えええー…。
そぅー…とソファに引き返す。
らしくない一護にオレはドキドキした。抜け駆けみたいな?いや、そういうわけじゃないだろうけど…。
一護のやつ珍しいな…。
一護は自分から女の子にどうこうする奴じゃない。動かなくても相手が距離を縮めてくるモテ男だからなんだけど、
まぁでも幼なじみだし…下心なんて…。
「…。」
そういえば一護、しらーっと***の隣りに座ったよな。いや、隣に座らせたのか。
え、どういうこと?え?
何事もなかったように一護は戻ってきた。そして剛史たちとまた喋り始める。
「ん。なんだよハル。顔になんか付いてるか?」
「なにもありません。」
見過ぎた…。
「なんでもありません…。」
「ハァ?」
随分と機嫌の良い一護のこの行動、気になった。
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