夏の続きを、君と:18(吉祥寺恋色:佐東一護) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

before

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「***!」


俺が***を呼び止めたのは学校を出てすぐだった。


***は一瞬驚いた顔をしたが俺だと分かるとパッと笑顔になる。


「タケちゃん!」


こういうのは嬉しい。…が、


「あ、そっか陸上部で来てたの?露店にいた?」


なにもなかったような笑顔に、あぁこうきたかと思った。


「帰るのか。」


「うん。」


「一護と来たんだろ。待たねーの。」


「…うん。」


「あのさ、一応言っとく。」


街路樹沿い チラッと校舎に目を向けた。俺たちの教室 かろうじて人の気配が分かる距離


「一護は今誰とも付き合ってないからな。」


なんとなく見える人影はたぶんハルだろう。修羅場を気まずく傍観中だ。


「あの女とはもう別れて…」


「あ、いいの。」


「え?」


「全然気にしてないから。」


あっけらかんと答えるコイツは、最初から期待していないとでも言っているかのようで、


「もしかしてへこんでると思った?フフ、そんなことないから。」


「…。」


俺は言葉に詰まった。


「気を使わないで。」


遠回しにその話はおしまいだと言われたようなもんだったからだ。…だけど、


「…あんな一護初めて見た。」


「え?」


「お前の話する時、すげー優しい顔になる。」


人の恋路をどうこうするつもりはないし、関わるのもおかしいと思う。だけど、


「アイツマジでお前に惚れてる。」


一護は本気なのに、コイツは最初から終わらせようとしていることが嫌だった。


「…。」


***は俯き黙った。言葉を選ぶかのように瞳を揺らす。だけど、


「…今はね、この夏が楽しかったらそれでいいの。」


そう言って、笑った。


「皆んなと楽しく過ごしたいの。誰が誰を好きとか…そういうのあると楽しめないじゃない。それに、」


「…それに?」


「当分恋はいい。」


・・・・


夏風が***の髪とスカートを揺らす…その発言とどこか哀愁を感じさせる微笑みに眉を潜めた時、


「私、この街に戻る直前に失恋したの。」


…そう言って情けなさそうに笑った。


「ダメ元でぶつかって砕けた。ぶっちゃけ…まだ引きずってるの。こんな気持ちのまま付き合っちゃダメでしょ。」


「…。」


か弱い笑顔にふと…懐かしい表情を重ねてしまう。


「…泣くほどかよ。」


それはガキの頃の、コイツだ。


「え…あ、ごめん…!」


溢れた涙の意味をコイツ自身分からないのかもしれない。落ちる前に慌てて拭う。泣き癖ついちゃってと笑い誤魔化す。


「やだなーもう…。」


「こっち来な。」


賑わう高校の前 通行人の多い歩道 とりあえずこんな人目につくところで泣かせたくはなくて、街路樹の影に連れて行った。


「ごめんごめん…!」


「どんなフラれ方したんだよ…。」


笑い誤魔化す***の頭を撫でた時、そういえば俺はガキの頃からこうしてコイツを慰める事が多々あったことを思い出す。


好きな子に意地悪しちまう一護のせいだ。アイツよく泣かせてたよな ***との最後の記憶も…いや、あの時は違うか。


「…。」


コイツが引っ越した夏の日 あれは一護のせいじゃない。…


「ごめんねタケちゃん。もう大丈夫。」


いや待てよ、あれは…


「ああ…。」


泣いたのは…一護のせい、だったんじゃないか?…


こんな時なのに、ガキの頃の別れの場面に違和感を感じた。***は大泣きをして俺たちとの別れを惜しんだけど、一番の原因は、


「じゃ、私帰るね。」


一護が…あの時…。


「またクロフネでね!」


「あ、ああ…。」


***は笑顔で手を振り帰路に着く。背を向けられた瞬間なんとも言えない気持ちなった。


「あのさ…!」


昔のように コイツの涙を止めるのは俺の役目でありたい。下心ゼロで。


久しぶりの幼なじみと再会して… 俺だって嬉しかったから。


「話なら聞くから。愚痴でもなんでも聞くから。」


「え…。」


***は俺の言葉に目を丸くした。


「あんま抱えんな。その男とも…これからどーにかなるかもしれないだろ。」


俺は一護推しだけど。とは言わずに。


***はきょとんとした顔をする。だがすぐクスクス笑い始め『タケちゃんは変わらず優しいね』と言った。


「あの人とはどうにもならないよ。元々ダメだったの。」


「…。一回フラれたからって分から…」


「既婚者だから。」


・・・・


ブルーのフレアスカートは夏色によく映えて姿が見えなくなってもいつまでも瞼の裏に残る。


「…。」


ふり出しに戻った一護の想いはこの夏届くのか


***がこの街で過ごす一ヶ月


一番その男を求めている時期なのに。



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