俺のですけどなにか:1 (吉祥寺恋色:Short:佐東一護) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

不意に妄想。

付き合い始めたばかりの頃の話。

 

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「…合コン?」

 

「そ、そう…」

 

いっちゃんの視線は突き刺さるほど尖っていて

 

「…真紀ちゃんに…あ、前の学校の友だちなんだけど、夏前に誘われてて…私、すっかり忘れてて…」

 

「…。」

 

「今週末だったって思い出して…あの…言ったの!私、付き合ってる人がいるから行けないやって!…だけどお店も予約しちゃったし、これからまた女の子探すのは大変なのって…」

 

私は無意識に距離を開けようとしていた。だっていっちゃんの怒りが沸々と込み上げてきているのが分かる

 

付き合い始めてまだ1ヶ月 いっちゃんが私の部屋に来るのはまだ二回目

 

ローテーブルを囲み 科学の課題をやり終え 他愛ない話をしながら クロフネのコーヒーにゆっくりまったりし始めたところ

 

「…それで?」

 

「…それで…」

 

テーブルに頬杖を付くいっちゃんは 片方の手の指でトン・トン・トン…と何かをカウントし始める

 

「…今週末、…合コンに参加しようと思います…」

 

…ピタ

 

「ッ…」

 

指先の動きが止まった瞬間 私は一気に背筋が伸びる。

 

怒ってる…絶対怒ってる。私に刺さる痛い程の視線はもう瞬きもしない

 

行くつもりはなかった。行きたくもなかった。でもしょうがないじゃない、いっちゃんと付き合う前に誘われていて

 

その時も気は乗らなかったけれど どうしてもと頼まれて…

 

だから…だから…

 

「…***。」

 

「はいぃ!」

 

声も顔も引きつってしまう

 

付き合い始めてから知ったよ いっちゃんがこんなに

 

「ちょい聞くけど。」

 

ヤキモチ妬きだったなんて…。

 

「はいぃ…。」

 

・・・・

 

10年ぶりに再会した幼なじみのいっちゃん

 

彼を意識してしまったのは初恋の相手だからなのか分からないけれど

 

接するうちに…他の幼なじみとは違う感情で彼を目で追ってしまっていた。

 

まさかいっちゃんもそうだったなんてね。お互いの気持ちを言葉にしたら幼なじみでありながらも恋人というかけがえのない存在になった。

 

もっともっと好きになって欲しい だって私はもっともっといっちゃんを好きになる

 

だから…だから 彼の機嫌を損ねるような事はしたくはないんだけど

 

「お前、彼氏いねぇの。」

 

「…います。」

 

「だれ。」

 

「…いっちゃん。」

 

「合コンっつーのはさぁ!」

 

「はいぃ!」

 

不意に大きな声を出され 私はもう正座をしていた足が痺れてる事さえ感じなくなって

 

「付き合ってるヤツがいねぇ奴が行くもんじゃねぇの。」

 

「…うん…だから…」

 

「それなのに行くんだ?」

 

「…。あの、だから…」

 

「おかしくね?お前の話。」

 

「…ハハ。」

 

「ぶっ飛ばされたい?」

 

「…。」

 

「呆れてモノが言えねぇんだけど。」

 

「…アハ…」

 

「まぁでも分かったよ。」

 

「うん…えっ」

 

想像していた反応でほぼ間違いなし…違ったのは最終的に納得されたって事で

 

それってつまり

 

「え…良いの…」

 

「良いよ。」

 

本気で呆れられたんじゃないかと…

 

「行きたいんだろ。」

 

「行きたいわけじゃないよ、断れないだけでっ」

 

「まぁどっちにしても行くんだろ?」

 

「…行く…う…」

 

それはそれで寂しかったり…

 

「うぅ…」

 

「は?」

 

勝手なんだけどホントに呆れられてしまったんじゃないだろうか

 

「俺も行くから。」

 

「あぁ、いっちゃんも…って…」

 

思ったけど、まさか、えっ?

 

「俺もその合コン行くわ。」

 

彼氏同伴なんてそんなまさか…

 

「えぇ~~?!」

 

最終的にこんな展開想像外。

 

・・・・

 

「なにか?」

 

勝ち誇った顔で私を見つめるいっちゃん

 

だけどその瞳は相変わらず尖っていて

 

「…ウソでしょ、いっちゃん…」

 

「本気だけど。」

 

声は相変わらず低く ドスが入っていて。

 

これは愛されている証拠だろうか。それとも私の信用がない?どっちにしたって彼女が参加する合コンに自分も行きます、なんて

 

「…ハハ、またまたぁ~! !」

 

思わず笑っちゃったけど いっちゃん全然笑わない。むしろ目くじら立てていて

 

「なにかぁ??」

 

「へ…」

 

あり得ないんだけど…?!

 

 

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