白金の花嫁:24 (怪盗X:Long:柳瀬流輝) | ANOTHER DAYS

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「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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あと何話かしらね…。

 

before

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ガララ

 

「お、流輝おかえり。」

 

「ああ。」

 

もう既に閉店し終えた黒狐

 

内側に掛かったのれんをくぐり ボスに頷くことで返事をした。

 

いつもならネクタイを緩めながらこのまま部屋に上がるが

 

「アイツ来てるし。」

 

「あ?…」

 

カウンターに座る拓斗が振り向きざま奥へと視線を送る。フッと眉を潜めれば

 

「は?」

 

テーブルに一人座る***と目が合った。

 

「待ってたのかよ…。」

 

俺と目を合わせることで息を飲み体を硬直させたのが分かる

 

何時だ?何時間待ってたんだ…


来たということに驚きはしなかったが、待っていたことに驚いた。なぜなら

 

掛け時計に目を向けながら***の居るテーブルに向かう俺は

 

今夜何かしら連絡は寄越すだろうと予測はしていたから。

 

ガタッ

 

「おっさん、ビールちょうだい。」

 

正面の椅子を引いた。

 

緊張を全身で表わしているかのような姿勢良く座った様

 

だが俺と目を合わせては反らす 瞳を揺るがす

 

「どうした?用があって俺に会いに来たんだろ、らしくなくオドオドしてんじゃねぇよ。」

 

鼻で笑い 顔を覗き込むような素振りを見せれば カッと頬を赤らめる

 

「いじめるなよぉ。はい、***ちゃんも飲みな。」

 

コンッ とジョッキに入ったビールが二つ置かれる

 

食事はどうするのかとボスに問われ 適当につまみをくれと返事をし

 

「お前は口が無くなったのかよ。はい、乾杯。」

 

黙り込むコイツに 一方的にグラスを合わせた。

 

「雰囲気すげぇ悪…」

 

「だな。」

 

ボスも拓斗もしっかりと耳を欹てているようだが。

 

「俺に言いたいことがあって来たんだろ。」

 

***とこうして顔を合わせるのが随分と久しぶりに感じる。

 

顔を見なくても電話なりで何かしら常々様子を伺っていた。

 

だがこの一週間は姿も声も伺い知る事は無く

 

「…流輝さんなんだよね、阿笠くんに『白金の花嫁』を送り届けたのは。」

 

真っ直ぐに見つめられる事に変な懐かしさを感じて。

 

挨拶もなくいきなり本題…それくらい緊張しているのだろう

 

「ああ。俺だよ。」

 

ビールを数口飲みながら頷いた。

 

「…そうですか。」

 

***はフッと視線を落としはしたが 口元は上がっている。その微笑みに

 

「それで?俺に言うことがあるだろ。」

 

俺がしたことは間違えではなかったと

 

「…ありがとうございました。」

 

「どういたしまして。」

 

微笑んだ***にホッと胸を撫で下ろして。

 

「ったく。この芸術バカ。」

 

・・・・

 

白金の花嫁を探していたのは本来ならコイツの曽祖父 大正ダビンチからの挑戦状 結婚の許しを得る為だった。

 

だが探すうちに…阿笠が現れた事でコイツのなかで目的が変わっていく。

 

『白金の花嫁』自体よりも元の持ち主へと対象が移り

 

口にはしなかったが 持ち主に届けることがコイツの第一目標に変わっている事を感じずにはいられなかった。

 

おかげですれ違う関係 俺との未来よりも芸術をこよなく愛する女

 

「依頼主さんが泣いて喜んでたって阿笠くん言ってた。」

 

「それはそれは。」

 

そんなコイツに惚れた…俺の負けだ。

 

・・・・

 

『リキくん、***ちゃん帰っちゃったよ、良いのコレ、どうなの??』

 

「ミッション再開。」

 

『えぇ??』

 

「***を外しただけだ。再開だ。」

 

あの日 ***を金野邸から立ち去らせた後、俺は中止と言った発言を撤回した。

 

金野の娘が未だ俺に気があることを利用し『白金の花嫁』をレプリカにすり替える事に成功する。

 

ガチャ!バン!

 

「リキくん、仕事早っ」

 

乗り込んだバンを走らせながら 袋から本物を取り出せば

 

「…見事だな。」

 

触れる事さえ躊躇してしまうほどの繊細な宝飾は息を飲む程で。

 

「***ちゃん、絶対今ヘコみまくってるよ。ちゃんと話をしてあげて。」

 

宙は『白金の花嫁』に魅取れながらもアイツを気遣うが

 

「***には言うな。」

 

「え?」

 

俺は素っ気なく伝えた。

 

「コレを手に入れたことは アイツには黙っていてくれ。」

 

「…どーいう意味だし。」

 

拓斗に限らず ボスも健至も眉を潜める だが意志が揺らぐ事はなかった。

 

「アイツにコレを差し出す気は無いってことだ。」

 

「は?…え、流輝、○○と結婚やめるってこと…?」

 

不穏な空気に車内が包まれたのが分かる。それが余りにも重く 健至の返事としても俺は大きく首を横に振った。

 

「アイツは向こう見ずにも程がある。少し反省させたほうが良い。」

 

俺の意見に皆 あぁ…と顔を見合わせた。

 

「確かに***ちゃんは心配だな。でもあの顔見た?捨てられた子猫みたいで可哀想に。」

 

ボスは泣き真似をしながら***を庇ったが

 

「***の身を案じるのもそうだが 今回のミッションではアイツもブラックフォックスのメンバーのようなもんだった。それなのに責任感も警戒心も持たず 勝手に行動した。アイツに『白金の花嫁』を拝ませる必要はねーよ。」

 

「厳しー!!」

 

結局阿笠に手を出された事実 どんな状況だったろうとそれを見て見ぬ振りは出来ない。

 

「拓斗、悪いがコレを阿笠の探偵事務所に送り届けてくれ。」

 

「は?」

 

俺の唐突な提案に皆驚きを隠せない。だが

 

***は依頼主の元に戻す事を望んでいると伝えれば

 

「…柳瀬がそれで納得すんなら良いし…。」

 

皆は納得してくれた。

 

「そうだな…一週間あればアイツも反省するだろ。一週間後に探偵事務所に届けてくれ。阿笠にコレを届ければ阿笠は必ず***に連絡をする。そうすりゃ否応でも俺に会いに来るだろ。そこで説教だ。」

 

強い口調で言い切り もう目にすることは無い『白金の花嫁』を手に取る

 

「チッ…どうしようもねー…ホントアイツは。」

 

「流輝がそんなに怒るの珍しいな。」

 

「…ねー、リキくん、ちょっと妬いてるよね?」

 

「…フン。さぁな。」

 

冷やかし始めるメンバーに 実際かなり嫉妬で荒れ狂っている胸のうちを知られないよう ソッポを向いた時

 

「…?」

 

『白金の花嫁』のヒール部分 指先が触れた場所に違和感を感じた。

 


 

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