SWEET CHAIN (吉祥寺恋色:Short:佐東一護) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

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久しぶりに聴いた曲。歌詞のまんまで。

 

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待ち合わせ9PM

 

ピアスを揺らし 約束の場所で佇むアイツをもう少し見ていようと思う。

 

「会いたかった」と言わせたい

 

ただそれだけの理由で 冬空の下 俺はアイツを待たせている

 

体を震わせ白い息を吐かせるなんてすげぇ自己中な恋人…

 

「…よ。」

 

「あ、いっちゃん!」

 

向かう俺に満面の笑顔で駆け寄ってくる

 

その跳ねた音符は甘い香りを振りまいて 俺の口角を上げさせた。

 

「悪ぃ。待ったろ。」

 

「ううん。今来たとこ。」

 

たとえ待たせたとしても いつもそう言う。優しい嘘に俺は騙されたふりをする。

 

「寒ぃ。どっか入ろうか。」

 

「うん。お腹空いたぁ。」

 

赤い鼻先 悴んだ手 満面な笑みだろうと隠せないから

 

「冷て。」

 

交差点で手を握った。瞬間 チラッと俺の横顔を見て恥ずかしそうに微笑んだ。

 

「久しぶりだね、いっちゃん。」

 

「だな。ずっと忙しかったから。」

 

「…会いたかった?」

 

「さぁ。」

 

「何それ。会いたくなかったの?」

 

横断歩道前 青だっていうのに立ち止まった。パッと振り払われた手に膨らませた頬

 

どんな表情だってどんな態度されたって

 

「お前は?」

 

寝ても覚めてもお前のことばっか考えてる

 

「お前はどうなんだよ。」

 

考えてるよ いつもずっとお前のことだけ

 

「言えよ。」

 

拗ねた顔のコイツをニヤニヤと見つめていた。平静を装っていた。

 

歩行信号が赤になるまで

 

「…会いたかった。」

 

欲しい言葉を囁くその瞬間まで。

 

「だろうな。」

 

「なにもう!」

 

こんな意地悪しても 不安だった。

 

これももしお前の優しい嘘だとしたら?…とか。

 

「いっちゃんは?」

 

「…。」

 

指をまた絡めて返事をしないまま信号を待つ。

 

俺の横顔を見つめていることに気づいても

 

どれだけ近づいてもお前のこと全部は知っていない。心の奥底までは見えない。

 

だけどそれでも それでも。

 

「もう!いっちゃんは?」

 

地団駄を踏むお前をフンと笑い 顔を覗き込んで唇を求めたのは

 

「…え…」

 

愛おしさには逆らえない 俺はもうどうしようもない

 

「ちょ…ここ、外っ…」

 

「誰も見てねーっつの。」

 

白い息が混ざって 白い頬が桃色に染まって

 

触れた甘い唇に目眩がする日々が続くのなら

 

見えない鎖に繋がれたまま 俺はお前に堕ちて 落ちて

 

「青になっ…」

 

「無視。」

 

行く着くとこまで墜ちて…終わりも始まりも無くて良い

 

「…会いたかった。」

 

俺はお前のもの ずっとそれで良い。

 

 

 

★END★

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