サンタマリア:15 (怪盗X:Long:柳瀬流輝) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

before

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ピンポ~ン

 

「え?」

 

夜更けに鳴ったベル音 私は閉じたばかりの瞼をパチッと開ける。

 

ピンポ~ン

 

こんな夜中に誰?隣の部屋の人かな…迷惑…

 

ピンポン

 

って、うちじゃん!!

 

ガバッ!!

 

「なに??」

 

夜更けの来客は私をベッドから飛び起こさせ切ったばかりの電気を灯させた。

 

ピッ

 

「え、誰??」

 

恐る恐る玄関に向かい

 

「ひぃっ」

 

コンコンコン…とドアを外から叩くその音にビクッと身体を揺らした。

 

「…なになに…」

 

ゆっくりと…ドアスコープを覗けば

 

「えっ」

 

知った笑顔が同じように覗き込んでいて…

 

ウソッなんでっ

 

ガチャッ

 

「流輝さんっ?!」

 

「遅ぇよ。」

 

「な、なんでなんで??突然なんで??」

 

「入れて入れて。」

 

「えぇ~??」

 

私に有無を言わさず入り込んだ彼は今夜予定があって会えないと言っていたはず

 

ズカズカと…彼と同時に鼻についた匂い これは

 

「…流輝さん、お酒飲んでる?」

 

「飲んでるというか飲まされた。」

 

部屋を見渡し振り返りニコッと笑う…ねぇもしかして

 

「まだ飲み足りねぇ。一緒に飲まないか。」

 

「えぇ??」

 

相当飲まされている?この無駄に笑顔の多い様子は

 

カチャ

 

「なぁビール無い?」

 

「勝手に開けないで!」

 

冷蔵庫を勝手に開けるくらいの調子良い感じ…酔ってるには違いなくて。

 

なになになに?どうしたっていうのぉ…

 

突然の愛おしい彼の訪問に戸惑うどころか焦りまくる私ってば。

 

・・・・

 

もう慌てっぱなしだった。

 

だって美術本はテーブルの上に出しっぱなし 前もって言ってくれていたら掃除だって隅々まで…

 

しかも当然だけどすっぴんのパジャマ姿 髪なんて跳ねまくり

 

「ハァ…」

 

言ってくれたらなぁ…もうちょっと何かしら出来る事があったんじゃないかと思いながらも

 

「お水飲んで。」

 

「サンキュ。」

 

ローテーブルにお水を置き 既に寛いでいる彼の隣に腰を下ろせば すぐに私の肩に凭れかかった。

 

「来るなら来るで連絡くれれば良いのに。」

 

「なんだよ、俺が来たら困るのか?」

 

「そういう事じゃなくて。…っていうか重いよっ」

 

「良いだろ別に。この体勢楽。」

 

色んな意味で私がキツいってば。もう~恥ずかしいっ…

 

それはまるで子供が親に甘えるみたい 肩に頬を擦りつけ全身を預けて。…というか密着しすぎるこの体勢にもう鼓動半端なかった。

 

だいたい、彼がこの部屋を訪れるのは初めてのこと。以前、家の前まで送って貰った事があったから表札を頼りに訪ねて来たというのは分かるんだけど

 

こんなに突然?しかも酔っ払いの流輝さんは随分とご機嫌 甘えん坊になってしまっていて 調子は狂われっぱなしで。

 

近すぎる距離は彼の髪が頬に掛かるくらい。フッと顔を上げられたら

 

「…すっぴん。」

 

「えぇ??」

 

「肌、やっぱ綺麗だな。」

 

ひゃっ

 

チュッと頬にキスをされたら…もう身体なんてカッチコチに固まって。

 

「プッ…自分の男に照れてんのかよ?可愛い~お前。」

 

「え…っ」

 

「食いたくなるくらい。」

 

「ちょっと、ちょっと待って…!」

 

何度その言葉を私は口にし 心の中で叫んだろう

 

「食わせろ。」

 

「食わ…??ん…っ」

 

肩を抱かれグッと引き寄せられれば強く唇が塞がれた。

 

ちょっと…待って…

 

呼吸を通して感じるアルコールの匂いが余計私を惑わせる

 

いつも以上に

 

「ん…」

 

キスに酔ってしまう…私達はまだ付き合って1週間…なのにね。

 

・・・・

 

『付き合わないか』

 

『え…』

 

高台で告白をされ キスをした。彼の言うとおり私達はまだ出会って3日しか経っていなかった。

 

それなのにどうしてだろう キスを止めることが出来なかった。

 

車に戻って…それからもずっと私達はずっと。

 

『ハァ…』

 

呼吸もままならなくてだらしなく流輝さんを見つめ返す事しか出来ない私はそれでも

 

『…私に流輝さんを夢中にさせる魅力なんて無いよ。』

 

そんな事を言ってしまう。それに対して彼の答えはこうだった。

 

『フン…』

 

鼻で笑って…私の頬にソッと触れて

 

『こんなに誰かと触れ合い続けるのは初めてだ。』

 

またキスをした。…その心地よさに…なんかもう嘘でも良いって思った。

 

私、流輝さんが好きだ。まだ3日でも…まだ、一緒に過ごす時間は数える程でも。

 

そう…思ったんだよね、あぁ、今も思ってる。

 

あの日から…恋人なんだよね、私たち。

 

・・・・

 

「なぁ夕方…なんで電話出なかった?」

 

チュッ…チュッ…と 音を立てて唇が離れる狭間に流輝さんは随分と色っぽい声で言う。

 

「…あぁ…」

 

チュ…

 

閉館間際 ポケットの中で震えた携帯に気づきはしたけれど

 

「鴨野橋くんに呼ばれて…」

 

「…あの眼鏡?」

 

頷けば 重ね続けられる唇のせいで彼の顔も動く

 

流輝さんは唇を重ねるだけではなく 鼻先も触れ合わせて 頬と頬も合わせた。

 

気づけば体勢を変えられ 向かい合わされる。両頬は両手で温かく包まれる。

 

徐々にその手は耳に移動して…髪を指に絡め頭をグッと固定されれば

 

「気をつけろよお前。アイツお前に惚れてるから。」

 

このキスが深くなる予感を私に起こさせた。

 

「…何言って…」

 

「見ていて分かる。…お前とヤリたい~って顔に書いてある…」

 

「なにそれやめてよ…っん…」

 

案の定 表面だけのキスが 突然深くなる。動く先端に思わず彼の腕を掴んだ。

 

「あんなひ弱な奴でも成人した男だからな 本気になれば女のお前なんてすぐにねじ伏せられる。」

 

グイッ

 

両脇に手を回され…身体が浮いたと同時に背後のベッドに

 

「待っ…」

 

ドサッ…と

 

「ちょっと力入れるだけで押し倒せるんだぜ?こんな風に。」

 

覆い被されたら。…もうそうなったら

 

「…流輝さん…っあの…」

 

この見下ろされる状況は もう。

 

「俺はそれを心配してんだよ。」

 

「あの…」

 

突然すぎてもうテンパるばっか…。

 

・・・・

 

しばらく見つめ合った気がする。よく…分からないけれど。

 

だって私は彼と目を合わせ でも反らし 泳がせるだけ泳がせてまた見つめる。

 

そんなの繰り返していたら流輝さんはクスッと笑って

 

「一緒に寝るんだったら絶対ヤラないとダメか?」

 

「え?」

 

「悪いけど今夜は期待に応えられそうにねぇよ。やっべぇくらい眠い。」

 

「…あのね、私は別にっ」

 

「次は絶対…あぁ〜眠い…」

 

「ちょっとっ…うぐっ!」

 

ドッ…と彼の身体から力が抜ければ全身で感じた体重に息が止まるかと思った。

 

「~~~~っ!!もう、流輝さん…っ」

 

「ん~…」

 

パシッ

 

叩くつもりで背に廻した手 だけど耳元で規則正しい寝息が聞こえ始めたら

 

「もう…」

 

そのうち トントン…とゆったりしたリズムに変わってしまって。

 

「はぁ…。」

 

彼の身体の重さが心地良いものに変わっていく。

 

「…おやすみなさい。」

 

・・・・

 

…ギシッ

 

ソッと身体の隙間を抜け電気を消す。

 

「ん…」

 

またベッドに上がれば 無意識に?彼は私を胸に抱いた。

 

「…良い匂いだな…」

 

「え?」

 

起きてるの?様子を見れば瞼は閉じたまま

 

だけど静かにこう言った。

 

「お前の匂い…安心する…」

 

呟きのような声はまた寝息に変わる。

 

「…。」

 

どうして私を選んだの?

 

そんな疑問は全然消えないけれど

 

「おやすみ…」

 

髪を撫でながら見つめる寝顔に堪らないくらいの愛おしさを感じた。

 

 

 

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