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「…帰って来た?」
ガタッ
思わず派手な音を立てて立ち上がった。
「え、マジかよ?」
たとえ昼休みだとは言え ここは職員室 午後の授業を準備している教諭だっている
だから慌てて口元を押さえ小走りに廊下に出た。
***が帰省して六日目
いよいよ明日帰って来ると 待ちに待った日を目前に心踊り始めていたオレ
「は?家に居るのかよ?」
昼飯を食いつつメールを送ろうとしていた時だった。
思いも知れない***からの電話 それは予定よりも一日早い帰宅の知らせで。
『そう。もう家に居るよ。それより大和、どうしたのこの部屋。』
「え?」
『綺麗好きの大和が珍しいね。あ~でも帰り遅くなるって言ってたもんね。』
***に指摘された部屋の様子に眉を潜めてしまう。
でも確かにそうだった。暇なくせに皿も洗ってねぇし洗濯も貯め込んだまま…
時間は有り余っていたはずなのに らしくねーの 家の事、なんもしないままで。
「悪ぃ…なんか帰った早々忙しい思いさせるな。」
オレ何してたんだろ だなんて今更のように抜け殻だった自分が恥ずかしくなる。
『良いよ。忙しかったんでしょ。これからガンガンやっちゃうから大丈夫。』
今日はすげぇ天気が良い。日差しは強く かと言って爽やかな初夏の風が心地良い
『なんてったって洗濯日和!』
電話越しに聞こえる***の声にオレまで釣られて笑顔になってしまう
っていうより指折り数え始めていた帰宅日が思いも寄らず早まった事が嬉しくて
『今日も遅くなる?』
「いや、速攻定時で帰る。」
やべぇ 顔がニヤケてどうしようもなくて。
・・・・
「タダイマ。」
「おかえり~。」
パタパタと廊下を小走りして迎え来てくれる愛おしい笑顔
「すごく久しぶりな感じ。なんか照れちゃう。」
鞄を受け取りながら恥ずかしそうに笑うこいつがすげぇ可愛くて。
「ご飯出来てるよ。あ、お土産があるの!」
少し頬が紅くなった自覚があったのかもしれない。***はすぐに身を翻しリビングに駆け出そうとした。
だから
「後で良いから。」
「え?キャッ!」
慌てて靴を脱ぎ腕を掴んだ。
ドサッ
そして鞄が落ちてしまうくらい強く引っ張って胸に抱きしめた。
「…どうしたの大和。」
「ん~…」
たったの六日 しかも予定より早く帰ったっていうのに
「ハァ…」
なんだこの懐かしさ 久しぶりの優しい温もりと香りに目を閉じてしまうくらいホッとしてしまう。
「…寂しかった…とか?」
たぶんこいつの顔は真っ赤だったと思う。だけど偉そうにそんな事を言ってオレをクスッと笑って
「…会いたかった…とか?」
心の中を読まれているのだろうか それともこいつもそうだった?
だからソッと背に手を廻してくれたのだろうか…なんて
「…ぶう子。」
「ん…?」
首筋からゆっくりと顔を上げたら鼻先がぶつかった
息もかかるくらい こいつの目に映る自分が見えるくらい
こんな距離でいたら ほら
「…抱きたくなった…とか。」
「え…ちょっと待って大和…キャッ!!」
アタフタとし始める***を抱き抱えるだけで。
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