つづき
一年前にも桜井章一の言を例に取り、生活における苦境、苦労からの解放について触れていた。
それをもうちょっとシンプルにしたものをここに再掲したい。
それは2600年前にブッダ釈迦牟尼を嚆矢とする仏教では「一切皆苦」と言っているが、そこからどうしたら脱せられるか明確な回答は与えられていないように思う。
おもしろいことに桜井章一はそこに明確な回答を与えている。
桜井はこういう。
● どんな人でもスランプで調子をくずすことがあります。生きていれば都合の悪いことはいくらでも起こります。そんな時に、(こうした)「基本の動作」「基本の心構え」がしっかりしていれば救われるのです。
これ人生には苦がつきまとうということ。釈迦は「一切皆苦」というが。
では基本の動作、基本の心構えとはなんだろうか。彼はこういう。
まず、
● 「変化の流れを感じ、素早く柔軟に動くことが基本」です。すべてが変化していく限り、変化には間に合わなくてはいけません。間に合わないと文字通り間が抜けた人生になってしまいます。
これ「諸行無常」にどう対処するかということでしょ。
つぎに、
● また、『「自分のことだけを考えない」ということも大事な基本』です。すなわち、相手のことも考え、さらに全体を思いやっていくという姿勢です。実はこの基本はみんな子供の時に教わっているものです。
これ自我が強すぎる我々の実態は「無我」であり、釈迦は「利他」や「慈悲」の大切さを説いてますよね。
桜井は、この麻雀で得た基本の動作や基本の心構えを生活のすべての局面においても忘れないようにしているそうだ。
生活のすべてで「基本」を大事にする。ここがミソだろう。「基本」を大事にして物事がスムーズに行ったり、気持ちよく感じたりする体験を積むことだ。
● 物事がスムーズにうまくいく時のやり方、自分が気持ちよく感じる行動、そうしたものはすべて(上述した)「基本の動作や心構え」から生まれます。
単純明快!
たった2頁の文章でここまで端的に人生訓を語れる人は少ない。そしてそれは仏教が2600年前に語ろうとした「苦からの解放」という問題に真正面から触れているとぼくは思う。