色の無い世界 8
「伝わるかわからないけど・・さっきみたいに感覚で聞いてください。
重いのは色で言うと黒い影のようなんです。
黒いのは発散できないあたしにまとわりつくんです。」
村上先輩は静かに聞いている。
「黒いやつのせいで手も足もうまく動かなくなるんです。
そのうち歩くために踏み出す足が分からなって、息も苦しくなる。
吸っていいのか吐いていいのか・・・普通が普通じゃなくなるんです。」
ふいに泣き出しそうになって隠す為にタバコに火を点ける。
一息吐き出して続けていった。
「怖くなって泣きながら心で叫ぶんです。助けてって何度も。」
「でもね・・最後には消えるんですよ。
もう重くもないし苦しくもない。ホッとするけど、何か変なんです。」
そう。悪夢から覚めたはずなのに、目の前は白黒テレビのように不鮮明な世界だった。
色の無い世界。