砂の塊 1

村上先輩に会ってから一週間たった夜。
カチカチ…
時計が秒を刻む音がする。
カチカチ…
寝付けない。
寝よう寝ようと考えれば考えるほど、時計のカチカチ音がうるさく感じる。
深夜の1時になる頃、眠れなくて起きる事にした。
のそのそと起き上がり、電気を付けるとソファに座る。

静かな夜だった。

静かすぎてうるさく感じる。
それが嫌で何か音を出そうと思った。
でもテレビを見る気分でも無かったし音楽を聴く気分でも無く、とりあえずタバコに火をつける。
ふぅっと吐き出したその煙を見つめる。

色の無い世界 9


「まさか・・晶ちゃん・・?」


村上先輩はちょっと勘違いしている。


「いや、村上さん大丈夫です。目は正常です。

その手に持ってるビールが黄色なのも分かってます。」


「あ~普通にビックリした!!そういうニュアンスって事だったな。」


ビックリしたと何回もいう村上先輩に思わず笑うと先輩も笑った。


でも、やっぱり前みたいに鮮明にはみえない。

識別ができないんじゃない。目は正常だと思う。

ただ、何もかも不鮮明にしか見えない。


店を出て歩きながら村上先輩に聞いた。


「頭おかしい事いって困らせてすいません。変なのは分かってるんです。

でも、戻ってくるのかな?」


「ん?」


「色のある世界。」


村上先輩は少し考えて自動販売機に向かう。

コーヒーをふたつ買って甘い方をくれた。


「大丈夫だよ。晶ちゃんなら・・・それに・・」


問題は色のある世界を取り戻すことだってひとつ分かったじゃないか。

村上先輩はそんな風に言ってくれた。


もう一度だけでもいい。

普通がほしい。

色のある世界を見たい。