俺は2020年東京に住むゲーム好きの男性だった。ある日、念願のグラブル というゲームの最終コンテンツ、アルバハHL単独ソロでの討伐に挑戦する。討伐は無事成功したのだが、その後、突然意識を無くした。
気がつくと、そこは中世の様な世界だった。だが、モンスターは出るは、太陽は2つあるは、明らかに異世界だった。
困っていた俺を助けてくれたのは、3人の冒険者だった。俺は彼らからの情報により、ここは昔の懐ゲー、ファイナルファンタジーの初期の頃の世界と気が付いた。
理由は解らないが、とても困った。帰る方法も解らない。そしてそれ以外にも問題があった。俺の外観は女の子だった。例のアルバハHL戦の時にグローリーというジョブで挑んだ。このゲームは主人公の性別を自由に変えられる。俺は女性版主人公ジータでプレイしていた。そして、この世界での俺の外観は女の子である主人公ジータそのものだった。
色々問題はあったが、俺にはグラブル のジョブのアビリティや召喚石、などが使える事がわかった。その為、最初に出会った、3人の冒険者のパーティの召喚士として迎えられる事になった。
そして何日かが過ぎた。俺は十分な経験値を稼いだので、黒魔術師になった。皆と相談してそうした。俺のアビや召還魔法は魔法使いの方が周りの理解が早い、現状で、あまりあちこち俺の事が話題になって欲しくなかった。
それと、先日から引き続き、この街の周辺にスライムが出没する様になった。そして、俺の杞憂は現実のものとなった。
それは、ギルドに出た依頼だった。1000000万ギル。破格の報酬、しかし、そんなもの命がけに決まっている。
俺達もちろんそんな依頼を受けるつもりはなかった。だが、内容は気になり、依頼の掲示板を読んだ。
『竜王を倒した冒険者に1000000万ギル。竜王の所在地不明。サスーン王国国王』
「竜王?バハムートの事では無いのか?」
アベルが切り出す。
「もしかしてバハムートが顕現したのか?」
エリクソンがなかなか面白い見解を言う。
「俺にはわからん。」
はいはい、カインには解らないだろう。
「皆な、聞いて、おそらく竜王とは、先日戦ったスライムと同じ世界から来た竜よ」
あー、最近、女言葉で定着しつつある、凹むなー。
「あれか?ドラゴンクエスト?」
「そう。ドラゴンを倒すクエストだからドラゴンクエスト、略してドラクエ。」
「その世界の巨力なモンスターが顕現したと言う事か。」
「その通り。それも最終ボスよ。」
「それは大変だ。」
「そりゃそうよ。この世界の魔王が現れた様者よ。」
「いや、違う、それだけじゃ無い。」
「どう言う事だ?」
「その世界の最強ボスが現れたという事はおそらく他の強力なモンスターも現れるという事じゃないか?」
「アベル、頭いい!確かにそうね。おそらくそうなんだわ。」
「新しいモンスターが多数発生する。対処方法が解らないモンスターは厄介だ。」
「いや、大丈夫よ。ドラクエの世界のモンスターは単純だから、強いか弱いだけよ。強くても弱点はあまり無い、弱くてもやはり弱点が無い。かなり昔のおもちゃのストーリーだから。」
「そうなのか?ジータちゃんがいると心強い。」
「任せて、だいたいは判ると思う。」
「どうしたの?アベル?」
アベルが考え込んでいる
「という事はこの竜王以外にも、異世界のモンスターの討伐依頼があるんじゃ無いか?竜王討伐は無理としても、もう少し弱いモンスターかつ俺たちでも倒せるモンスターを探せば、ギルも経験値もたくさんもらえる。」
「そっか、それはありえるわね。」
俺たちはギルドの掲示板を探した。するとそれらしきモンスターの討伐依頼を発見した。
『謎のドラゴン討伐依頼。100万ギル。所在地カズス郊外の山の頂き。カズス司政官。』
「これか?」
「おそらく、今までこの辺にドラゴンなんて出なかった。」
「ジータちゃん。どう思う?」
「丁度いいと思うわ。おそらく、他の冒険者は警戒して情報収集の段階だと思う。」
「やってみるか?」
「そうだな。俺たちもかなりの腕前になった。」
「ああ、このミスリル銀の剣があれば」
とアベル
「俺のミスリルロッドもあるぞ。」
とカイン
「俺のも短剣だが、ミスリルだ。」
とエリクソン
「私のは?」
と俺ジータ
「ジータちゃんは召還師だから、武器は無いよ。装備できるのはロッドだけだから。」
「私もミスリル銀の剣が欲しい。」
「駄目だよ。ジータちゃんは黒魔術師なんだから」
「なんで、黒魔術師は剣を装備しては駄目なの?」
『宗教上の理由に決まってるじゃ無いか』
三人の声がハモる。その説明が余計にわから無いけど、とにかく駄目らしい。
俺はしぶしぶ、鉄製のロッドで我慢した。
「重いよー。」
ぶーぶー言いながらも身支度を整えて、俺達冒険者一行はドラゴンの住むキルト山へ向かった。街から歩いておよそ4時間といったところだ。途中、たくさんのモンスターが出たが、使用回数無制限の俺のアビと召還石で、何とかなった。
山の麓につくと、テントを貼り、一夜を明かした。
「おはよう」
「おはよう」
皆起き出していた。皆緊張している様だった。当然だろう。仮にもドラゴンを倒すのだから。
「あまり気負わなくても大丈夫よ。皆んなならヘーキヘーキ」
とはいえ、実は俺も確信があるわけではなかった。しかし、いざとなれば俺一人で倒すつもりだ。皆、俺の事、召還魔法使いと思っている。おそらく、俺が武器を持っていないためだ。だが、俺は絶えず武器の存在は感じている。先日、試しに武器を出してみた。水グローリーの主武器ミュルグレスが出た。俺はいつでも武器を出せる。最初は手から生えてきたからびっくりしたが、皆の前でやると皆驚くから今まで一度も武器を出していない。
朝食を済ますと、四人は山を登っていった。戦う為の装備を背負って、山を登るのはかなり大変だ。みんな、女の子だと思っている俺には何も持たせない。
途中のモンスターはこの世界のモンスターではなかった。しかし、俺ジータちゃんのアビも召喚石も効果がある事が確認できた。
程なくして、山頂近くまで辿りついた。
「皆んな気を引き締めろよ」
アベルが鼓舞する。
「皆んな気楽にね。」
と俺が皆をリラックスさせる
「いや、ジータちゃん。仮にもドラゴン倒すんだから。もう少し、気合い入れようよ。」
「そだね。」
「そだね。って。。。」
「ジータちゃんはお気楽だな。」
「でも、危ない時は早めに撤退するからね。」
「ああ。もちろんだ。だが、誰も討伐したことが無いドラゴン。戦士の魂に火がつく。」
「もし、倒せたら、私にミスリル銀のロッド買ってね。昨日見てきたら、すごい綺麗なの。」
「いや、あれ結構高いし、装飾品じゃ無いよ。」
「ジータはあれ欲しいの。綺麗何だもの。」
「なんか、俺は男だとか言ってたけど、やっぱりジータちゃんは女の子だね。」
「そだねx3」
「あーなんかムカつく。」
てなことをやっていたら、現れた。ドラゴンが。。。
「皆んな、アビと召還石を召喚するから、その間、私を守って、まだ攻撃しちゃ駄目よ。」
「わかったx3」
一斉に皆、武器を手に取る。
「エリクソン、あなたの魔法も解禁よ。」
「やっと出番だ。」
「ブラックヘイズ、チェイサー、コロッサス汝を召喚する」
「今よ、みんなお願い。」
「OK、皆行くぞ。」
「ブリザド」
エリクソンの攻撃魔法。水属性の攻撃魔法だ。ドラゴンは属性は存在しないと思うが、一応、火属性と教えておいた。
「武技、不動明王剣」
アベルの剣撃
「武技、肉体強化」
カインの武技、一時的に体力を上昇させるもの。こんなのファイナルファンタジーには無かった様な気がする。
「カーバンクルガーネット」
私の召喚魔法、炎属性の攻撃を半分にする。
ドラゴンの口元が赤く染まる。
「フレームブレス来るわ」
「了解x3」
皆、身体を隠す。
一番怖い炎のブレス、皆ほとんどダメージが無い、ミストの攻撃25%downと炎のカーバンクルのおかげで、ダメージは1/4だ。
私も攻撃に参加する。武器を使わない場合、一番ダメージを与えられるのはアーカルム召喚石のみ。
「ザ・ムーン」
ガン。召喚石のダメージがドラゴンに付きささる。かなりのダメージの筈。
そして、切れ目の無いアベルの剣撃、カインの回復魔法とロッドによる攻撃、エリクソンの黒魔法も地道にダメージを稼いでいる。
「そろそろね、シヴァ行くわよ。」
「OKx3」
「汝を召喚する、シヴァ」
周囲が赤く染まり、召喚石シヴァが姿を表す。シヴァの炎がドラゴンを焼き尽くす、しかし、このダメージは大した事は無いそれより。
「武技、不動明王剣」
「武技、王虎」
「ブリザラ」
3人の最強の技がでる、しかし、威力は格段に違う、シヴァの第三の目、開眼、攻撃力100%UPつまり、倍の攻撃力。
「ガー」
断末魔の声を出してドラゴンが崩れ落ちて行く。
「やったー!x4」
俺たちはドラゴンに勝った。
「ふー、もう魔法の使用限界だ。」
「俺もだ」
カインとエリクソンがへたり込む。
結構やばかった。かなり強いモンスターだった。何より、この世界の特徴である、属性防御ダウンを持たない点は注意がいるだろう。私の防御ダウンのアビは属性に関係無いものを使っているけど、知らないこの世界の冒険者は有利属性が無い状態で戦う事になる。
「帰ろう」
「そだね。」
「あ!その前に。」
アベルが何かごそごそだす。
カシャ
「何してるの?」
「アイポンしたんだよ」
「何それ?」
「モンスターの討伐した証拠にこの箱で証拠を撮るんだ。」
「それはアイフォンだった。」
そんなシステムだったのか!
一人変なショックを受けた俺以外、皆元気に山を降りた。
麓で一晩泊まって、街に帰った。
俺たちはちょっとしたヒーローになった。そしてたくさんの賞金。そう、ミスリル銀のロッド、あれ、装飾がとても綺麗なんだ。
「はい、ジータちゃん。約束のロッド。良かったね。」
ジトー。俺は皆んなの姿をジトーと見た。
「どうしたんだよ、ジータちゃん。なんか機嫌が悪そう。」
「みんなの防具が変わっている。それもかっこいい奴になっている。」
「いや、これは違うんだ。」
「ミスリルシリーズの防具一式揃えたんだ。」
「私の分は!」
「だって、ジータちゃん、衣装自前以外着無いじゃん。」
「それは関係無い、黙って買った事に問題がある。」
「あ!もしかして、あれ?」
「そうよ、あれよ」
私はニヤリとすると召喚魔法を唱えた
「ジャッジメント」
ゴン。三人共ボコボコになった。
全く、男はだらしない。もう少し、良く考えて買い物すればいいのに。
うーん。何か、大きな問題な様な気がするけど、何かわからない。