【進撃の連合艦隊】昭和6年 鹿鳴館にて | まもちゃんのブログ

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2020年中国と開戦した日本は中国軍航空母艦による首都東京空襲により壊滅する。核兵器が使用され、東京は廃墟と化した。この戦いで、同盟国アメリカは参戦しなかった。日本は見捨てられたのだ。遥達防衛省技術開発本部の面々は核爆弾の直撃時に昭和元年にタイムスリップした。皆、中国、アメリカへの復讐に燃えていた。皆、家族を東京空襲で亡くすたのだ無理も無い話だった。

防衛省技術開発本部がタイムスリップしたのは帝国海軍海軍施設内だった。遥達と帝国海軍軍人が接触すると、たちまち海軍上層部は大騒ぎになった。開発本部長「鳴海 晃」と海軍の連合艦隊司令長官「加藤 寛治」、軍令部長「鈴木 貫太郎」とが会談を持ち、技術開発本部と海軍が協力する事となった。

技術開発本部は海軍内でJSDFと呼ばれる事となった。遥と隼人は海軍に配属された。

旧史では昭和6年9月18日中華民国奉天郊外の柳条湖で関東軍による自作自演の満州事変が起こるが、新史では未然に防ぐ事ができた。しかし、日本は国際的な孤立は避けられたが、アメリカの日本への警戒が解かれる事は無かった。むしろ、日本脅威論が台頭し、アメリカへの日本の警戒感も強くなり、世論はアメリカへの批判を強めた。

そんな中、帝国海軍中尉、遠藤遥と本田隼人は鹿鳴館での陸軍、海軍の親睦会である、「平成塾」に参加した。これは陸軍が主催したものだ。表向きは陸軍が海軍へ対装甲砲弾への海軍の協力を求めた事から始まった。しかし、この親睦会の名前を見れば、平成人の親睦会である事は明らかであった。何しろ、平成と名打つ訳である。海軍側も苦笑せざるを得なかった。

第一次世界大戦には日本軍は参加しなかったが、戦車の登場が陸軍では話題だった。陸軍でも戦車についての研究がなされていたが、問題なのは対戦車砲弾及び装甲だった。陸軍には対装甲砲弾及び装甲に関する技術が無かった。しかし、その技術は身近にあった。そう海軍だ。当たり前だが、海軍には戦艦があり、装甲と対装甲砲弾の技術開発は大昔から進んでいた。陸軍はその砲弾と装甲の技術を分けて欲しいというのだ。しかし、これは当時としては信じがたい事だった。日本海軍と陸軍は仲が良い筈が無かった。それは他国でも見られる話しだが、軍隊同士予算の奪い合いで仲が悪いのだ。又、海軍は黄海海戦や日本海海戦に勝利し、多くの名声を得ているが、陸軍には無く、その一方、陸軍は人員だけは海軍の10倍近く存在し、海軍は陸軍に吸収されるのを恐れていた。


「しかし、ばればれのタイトルだな。まるで子供の発想だ。」

「そうね。ちょっと、もう少し、ひねりを利かせて欲しかったわね。ちょっと、ダイレクトすぎるわね。」

「まあ、判りやすいけどね。」

「どれ、陸軍の平成人はどんな奴かな?」

「奴じゃ無いみたいよ。」

「え?」

「ほら、すごく判りやすい女の子ね。陸軍にあんな若い将校がいる訳がないわ。間違い無いわ。」

2人は早速女性陸軍将校に接触する事にした。将校とは思えない若さ。そして現代的な顔立ち、どう考えても彼女が平成人だ。

「こんばんわ。」

「初めまして。」

「海軍中尉遠藤です。」

「同じく海軍中尉本田です。」

「陸軍大尉 洲崎 雅です。ていうか、かわいい!本物の遥だ。」

「ちょっと、なんですか?」

「あっ、ごめんなさい。JKみたいな事言って。」

2人は顔を見合わせた。間違い無い、平成人だ。しかも、ちょっと、頭が弱い。

「あの、何故私の事を?」

「あら、あなた、ヨーロッパではとても有名だったじゃ無いですか。私もファンなんですよ。」

「ありがとう。でも、あなたの方がかわいいわよ。」

「へへ、遥さんからかわいいなんて嬉しいです。」

「いやいや、本物のJKには叶わないわ。」

「はは、やっぱり、平成の人なんですね。私、平成の人とは5年ぶり。」

「やっぱり、あなたもタイムスリップを。」

「はい、あの日、私の学校に爆弾が落ちて、その時、ペンダントが光って、気がついたら、ひいおじいちゃんの家に倒れていたんです。ひいおじいちゃんは陸軍将校で、私の持っていた知識を言ったら、信じてくれて。そして、陸軍の上級将校に紹介してくれたんです。私は陸軍のアドバイザーとして働く事になりました。」

「あなたが満州事変を幻にしたの?」

「はい、私の知識をおじいちゃんの親友に話したら、そうすべきだと。彼が言うには2方面作戦は愚の極地だと、少なくとも、米軍を倒してからと、そして、出来れば、大陸では戦いたく無いと。」

「それにしても、君は何故、そんなに知識を持っていたんだい?平成の学生が対中戦争に詳しいなんて信じられ無いよ。」

「私は軍事おたくで。。。恥ずかしいですけど。」

「おたく!」

「以外だ、こんなにかわいいのに。可哀想に。」

「ちょっと、人種差別は良く無いわ。」

「あのー、そこ迄言わなくても、ちょっとひど過ぎません。」

「ごめん、ごめん、あんまりかわいいから、からかったんだ。」

「でも陸軍にはもってこいの人材だ。ところで、君を抜擢した上級士官は誰なんだい?」

「梅津 美治朗少将です。」

「梅津 美治朗少将!」

「誰なの?」

「後の陸軍大将。無言の将軍だよ。」

「そうです。彼は私の意見を受け入れ、陸軍省で活動して、張作霖爆殺事件も満州事変も回避できたんです。もちろん、海軍さんのお力も助かりました。陸軍単独では難しかったです。」

「この親睦会もあなたの?」

「はい、ちょっと、そのまんまでしたけど。必ず海軍さんの平成の人の目にふれて欲しかったので。」

「今後、お互い連絡を取り合おう、協力し合おう。」

「もちろんです。それに私たち陸軍から、対装甲砲弾や装甲に関する技術協力の他、提案があるんです。」

「どんな?」

「空軍の設立です。海軍さんはかなり大勢の平成の人がいるのでは無いですか?この処の海軍の建造計画、1人や2人によるものとは思えない。陸軍の平成の人は私だけなんです。とても、全てを見切れない。ましてや、航空機は今後の時代の主力兵装。なんとしても、過去の航空機より優れたものを作って欲しいのです。私たちは政略や戦車、火砲の充実がやっとです。お願いします。」

「それはとても耳寄りな話しね。わかったわ。何とかするわ。」

「ありがとうございます。」

「ところで、今更なんだけど、君の方が階級上なんだよね。。」

「え!」

「そうか、承知しました。大尉殿。」

2人は海軍式の敬礼をした。

「へへ、恥ずかしいな。」

雅は未だ、19歳だった。中学生の時タイムスリップして、この時代を生きていた。だが、彼女が陸軍にいたのは幸いだった。今後の陸軍、海軍の橋渡し役となるだろう。

それにしても。。。

遥は思わぬ情報を得た。雅ちゃんのペンダントも光っていた。私のと同じ様に。

ひいおばあちゃんのペンダント、それは中国大陸から来たものだった。彼女のものも同じだろうか?

遥の疑問が解けるのは、随分後の話だった。

そして、この話しをJSDFに持ち帰り、精査し、回答を海軍省に提出しなければならない。

新史の日本に空軍、そして海兵隊が後日創立される事になる。この事により、日本は効率的な航空機作成が可能となる。今回の親睦会は極めて有意義だった。特に、雅の周辺の将校と面識を持てる機会を得た事は極めて重要な事だった。