「……今の、変じゃなかったですか?」
セッション中、
その人は水を口に運びかけて、ふと止まった。
ほんの一瞬。
でもその間に、
👉“誰かの目”を確認している感じ
があった。
部屋には、僕しかいないのに。
そのあと、何事もなかったように飲んで、
また話し始める。
内容は普通だった。
仕事のこと、人間関係のこと、
よくある悩みのように聞こえる。
でも、どこか引っかかる。
言葉は整っているのに、
👉呼吸が通っていない感じ
がする。
話している“本人”よりも、
👉話している“自分の見え方”のほうを見ている
そんな印象だった。
「うまくやろうとしてるんです」
その人は、ぽつりとそう言った。
少し笑いながら。
でも、その笑い方もどこか控えめで、
👉出過ぎないように調整されている感じ
があった。
「ちゃんとしていたいし、
自然に見られたいし…」
「でも終わったあとに、
なんか違うってなるんです」
そのあと、少し沈黙が流れた。
何かを言う必要はなかった。
何かを変える必要もなかった。
ただそのまま、
少しだけ時間が過ぎた。
ふと、
その人の肩が、わずかに落ちた。
理由はわからない。
何かに気づいたわけでもないし、
何かが解決したわけでもない。
でも、
👉さっきまでとは、少し違う空気
があった。
その人はしばらくして、
小さく息を吐いた。
「……あれ、なんか今」
言いかけて、やめた。
言葉にしようとして、
やめた。
そのまま、また普通に会話が続く。
特別なことは、何も起きていない。
でも、
👉同じでもない感じ
だけが、静かに残っていた。
セッションが終わって、
その人が帰るとき。
ドアの前で、
少しだけ立ち止まった。
何かを言おうとしているようにも見えたけど、
結局、何も言わなかった。
ただ、
来たときよりも少しだけ、
力が抜けているように見えた。
それだけだった。
なんとなく噛み合わない感じ。
ちゃんとしているのに、どこかズレる感覚。
それをどうにかしようとすると、
余計に整わなくなることがあります。
むしろ、
👉何も整えようとしない時間
のほうが、
先にほどけていくこともある。
説明はできないけど、
そういうことが、実際に起きます。
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