ぼく、ずい分言葉がわかるようになって簡単な会話ならできるようになったでしょ。
本当は、言葉にできるよりもっとたくさんのことがわかっているんだよ。
でも、頭の中で考えたり思ったことを言葉にするのがむずかしいんだ。
思いを表す言葉をまだ知らないからだよ。
外国語を話せない人は、思いを外国の人に伝えられないでしょ。
だからってわかっていないわけじゃないものね。
言葉が話せないってほんとじれったいね。
言葉を使わずに思いを伝える方法があればいいのにね。
でも、お母さんは時々、ぼくの目を見て、ぼくの言いたいこと当てているよ。
すごいなあ。
お母さんのおなかの中にいる時は、お母さんがどう思っているか、なんとなく伝わってきたんだよ。
お母さんが元気なのも悲しんでいるのもわかったよ。
どうしてかな?
ぼく言葉なんて知らなかったのにね。
身体もどんどん大きくなっているでしょ。
いろいろな動きもできるようになったから、自分でお洋服も脱げるし、靴もはけるし一人で手を洗ったり、スプーンで上手にごはんをたべられるし・・・
「えっ? まだいっぱいこぼしてるって? そうか・・・自分では上手に食べているつもりなんだけど。
ぼく今度食べ終わった後、テーブルの下のぞいてみようっと」
毎日の生活のパターンやリズムがわかってきたよ。
お父さんが朝お出かけして夜帰ってくることや、お母さんがお掃除やお洗濯や、お買い物に忙しくしていること。
お父さんが帰るまでに、おいしい晩ごはんを一生懸命作っていること。
ぼくのすることもだいたい毎日決まっているよね。
毎日同じようなことを繰り返すんだね。