スッチーだった頃 9 | 「真面目にふざけて、ふざけて真面目に』 真面目なゆうき先生の妄想シリーズ紹介

「真面目にふざけて、ふざけて真面目に』 真面目なゆうき先生の妄想シリーズ紹介

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9.初フライト

OJTでも合格点をもらって、いよいよ一人前のスチュワーデスとして
国際線を飛ぶことになりました。
初フライトは、北周りヨーロッパ線。私のフライトはコペンハーゲンまででしたが、
飛行機の最終目的地はハンブルグ。
当時、北周りでヨーロッパに向かう便はDC8(ダグラス社)という
細長いきれいな形の飛行機が主流でした。

飛行機としてはスマートでカッコ良くて、私もとても好きな機種でした。
ただ、通路は狭く、すれ違うのがたいへん。その後導入されたジャンボ機に乗ると、
DC8がとても狭く感じてしまいました。

DC8に乗務するクルーは、パーサー、アシスタントパーサー、そして、
スチュワーデスが2名、それに機長らパイロット3人のこじんまりしたチーム。

北周りでは、まずアンカレッジに寄港します。
お客様はそのままそれぞれの目的地まで行かれますが、クルーは乗務時間が
8時間を超えるので、アンカレッジで交代します。
アンカレッジに2泊して次の便を待ちます。
当時はまだ便数が少なかったので、フライトにも余裕がありましたねえ。

実は初フライトで、マザーユウキは失敗をやらかしました。
なんと外国人のお客様のズボンにコーヒーをこぼしてしまったのです。
平謝りのマザーユウキに、その方は「大丈夫。大丈夫」
とやさしく言ってくださいました。
そういう場合、クリーニング代をお支払いするのですが、私がお支払いすると言っても、
パーサーに報告してパーサーから申し出てもらっても、受け取って下さらず。
でも、何よりもホットコーヒーだったからきっと熱かっただろうなぁ。

ホットコーヒーと言えば、フライト中怖いのはタービュランスと言って、
飛行機が急降下すること。
たいていは、シートベルトサインが点きますし、大きく揺れることが予想される場合は、
機長から食事サービスストップの連絡も入るのですが、予想できない場合もあるのです。

食事サービス中にそんなタービュランスが起こるとたいへん。
もし、熱い飲み物を持っていたら、お客様にかからないように
すぐ床に流すことになっていました。
タービュランスで腰の骨を折るという大けがをしたスチュワーデスもいましたし、
マザーユーキも尻もちをついたことがあります。