よくマネージャー(経営者)として活用できるのは
「ヒト」「モノ」「カネ」と言われている
しかし校長という立場は
その責任の重さや社会的地位の高さのわりには
その「武器」が与えられていない
企業なら、社員のモチベーションは
カネや昇進が大きな要因になるようだが
教員というのは、その辺りは頓着しないので
悪くいうと、「エサ」で釣るようなことは
まず、できない
学校というところで
「ヒト」の、一番重要な位置を占める「職員」は
与えられるもので、自分で採用することはできない
誰が来るかは、ほとんど運任せに近い
基本的に教員になろうというのは好い人だが
資質能力の高さは、人それぞれだ
校長が活用できる「ヒト」というのは
むしろ、外部の人間であることが多い
地域の教育財産とも言える協力者や
大学や企業などの協力者だ
私もこれらの人々には散々世話になっている
「モノ」は、基本的には
学校の施設そのもののことで
これも同じ公立学校であるにも関わらず
自治体や、施設の新しさによって
天と地ほどの差がある
私のところは、東京の真ん中にしては
広い、きれいな校庭や体育館
そしてネット環境の整った施設で
区内でもよいほうだが、
最近改築された学校に比べたら
老朽化している現状は否めない
過去に区のモデル校を受けていたこともあり
Wi-Fiはどこでもよくつながるのはありがたい
そして、最後の「カネ」だ
大体学校一校に配当される予算は
800万位だと聞いている
コロナ禍は、様々な臨時の予算があてがわれたが
今はそのツケが来て、年々予算は減らされている
これで備品からトイレットペーパーまで買う
この予算を上手につかうのが
マネージャーの腕の見せ所だと言うが
必要なものを揃えるのが優先なので
実際には、大したことはできない
それ以外に、例えば、教育委員会の
研究奨励校を受ければ、そのために必要な
消耗品や印刷代、書籍代、
そして講師への謝礼金として
研究の規模に応じて20~50万ほどの予算がつく
(これも削減され、今年は175000円しかもらえなかった)
さて、現任区では、それ以外に
校長が自由に(?)使える「学校運営交付金」というのがある
着任した当時は、一校に50万配当され
本当にかなり自由で領収書があれば大丈夫という感じだったが
途中から、公費として、事務を通さなければ執行できなくなった
さらにここ数年、25000円のカットでさらに厳しくなっている
これは学校の特色を打ち出すための
校長に任された、真の「武器」だ
私はこれまで、かなり有効に使わせてもらっていると思う
例えば、これまでに購入したのは
高音質で校庭や体育館で音を拡声できるPAシステムや
ユーチューブ配信の道具としてのGoProカメラ
それから、学校の花壇を一年中花で飾るための
花の苗などを定期購入している
PA やカメラは、なかなか普通の校長は買わないところだが
お陰さまで、大変重宝していて
保護者や地域の方からは大評判になっている
花もそうだ
地域のお年寄りなんかは、みんな本当に喜んでくれている
さて、それ以外にもいろいろ買わせてもらっているが
いちいちケチがつくことが多い
業務委託費は出せません、というから
企業との連携はとても手間がかかるし
著作権等の使用料などは出せないという
今回は、学校改革の目玉となる
全校での映画上映会を企画し、事前にとってあった予算を
少し組み換えて使いたいと申請したら
それは出せませんと言ってきた
今回は、学校の特色を打ち出すための
最も有効な手段としての計画だったので
なんとかならないかと、ごねてみた
もし、それでも担当がノーと言ってきたら
教育長でも、区長にでも掛け合うつもりでいた
本日、担当より電話があり
本来なら執行できないところだが
話も進んでいるというので、今回に限り
許可する、と言ってきた
今年私は区内の校長としても古株になってきていて
校長会の代表を務めていることもあり
教育委員会も、仕方なく承諾したのだろう
それはどうもありがとうございました、と言って
電話をは切った
計画が実施できることになってラッキーだった
が、改めて校長の権限の少なさには
ため息の出る思いだった