「両目とも見えているのに、

なぜ遠近感が取りにくいの?」

――意外と知られていない「不等像視」と矯正メガネ

メガネを掛けているのに、

  • 夜になると月や街灯、信号がブレて見える
  • 物がなんとなく二重・重なって見える
  • 遠近感が取りにくい
  • 車庫入れが苦手になった
  • 道路の中央を走りにくい
  • 右折時に対向車との距離感がつかみにくい
  • 夜間の運転を避けるようになった

このような経験はありませんか?

「視力が悪いからかな?」

そう思われる方が多いのですが、

原因は単純な近視や乱視だけとは限りません。

今回ご紹介するのは、少し専門的ですが、

非常に重要な「不等像視(ふとうぞうし)」という状態です。


■「両目とも見えている」のに、

立体感が得られない?

人間は右目と左目で少し違う方向から同じ物を見ています。

その左右の情報を脳が組み合わせることで、

「これはどのくらい遠いのか」
「物体はどこにあるのか」
「どちらが手前なのか」

といった立体感・奥行きを感じています。

ところが、左右の目に入る像の大きさが大きく違っていると、

脳にとっては2つの情報を上手く組み合わせることが難しくなる場合があります。

 

これが「不等像視」です。

医学的にも、

不等像視は左右の目で知覚される像の大きさや形が異なる状態とされ、

両眼視機能や空間知覚に影響することがあります。


■今回のお客様の場合

今回、専用の検査チャートを使用して確認したところ、

右目の像が左目に対して約94%

という結果でした。

つまり、単純化して言えば、

右目側の像が約6%小さい状態

です。

これは「右目の視力が6%悪い」という意味ではありません。

ここが非常に重要です。

視力の問題ではなく、

左右の目に入る「像の大きさ」のバランスの問題なのです。


■なぜ本人は「二重に見える」と感じないのか?

ここも不等像視の分かりにくいところです。

左右の像が完全に一致しない場合でも、

人間の脳には両眼の情報を調整する働きがあります。

しかし、像の大きさの差が大きくなると、両眼視機能に負担がかかり、

抑制などによって「二重に見える」ことを避けている場合があります。

研究では、3%程度から両眼視機能への影響がみられ、

5%を超えると抑制が起こりやすいことが報告されています。

 

そのため、

 

「両目とも見えている」
「視力検査ではそこそこ見える」
「物が完全に二つに見えるわけではない」

それでも、

「何となく遠近感が変」
「夜が見にくい」
「距離感が取りにくい」

ということが起こり得ます。


■そこで「アニサイクルレンズ(サイズレンズ)」

今回使用するのが、

アニサイクルレンズ

(サイズレンズ・iseikonic lens)です。

通常のメガネレンズは、

「近視を矯正する」
「遠視を矯正する」
「乱視を矯正する」

という考え方が基本です。

 

しかしアニサイクルレンズは、それだけではありません。

 

左右の目に入る像の大きさを調整して、

両眼視しやすい状態を目指すレンズです。

今回のようなケースでは、

専用のトライアルレンズを使用し、

実際に左右の像の大きさを調整しながら確認していきます。

 


■実は「特殊な魔法のレンズ」ではありません

ここが、私が皆さんに知っていただきたいところです。

 

メガネ店では、

近視・遠視

度数を調整

乱視

乱視軸・度数を調整

斜視などによる両眼視の問題

プリズムで調整

 

というように、

 

**「見え方の問題に合わせてレンズを設計する」**

ことを日常的に行っています。

 

不等像視についても、その延長線上にある考え方です。

もちろん、

すべての不等像視がメガネだけで解決するわけではありません。

 

不等像視には、

左右の屈折状態の違いなどによる「光学的不等像視」だけでなく、

網膜・黄斑などの状態によって生じるものもあります。

そのため、原因によっては眼科での確認が必要です。

 


■「見えているから大丈夫」とは限らない

今回のお客様も、

「両目とも見えている」

 

だからこそ、

ご自身では原因が分かりにくかったのだと思います。

 

しかし、

視力=見え方のすべて

ではありません。

両目を使って、

「一つにまとめる」
「立体的に見る」
「距離感を判断する」

という両眼視も非常に重要です。

 

特に車の運転では、距離感や空間認識が重要になります。

 

「夜になると何となく見にくい」

「車庫入れで距離感が分かりにくい」

「対向車との距離がつかみにくい」

 

という方は、

単純に「年齢のせい」「視力が落ちたから」と決めつけないことも大切です。


■メガネは「視力を出す道具」だけではありません

私たちが考えるメガネは、

「1.0が見えれば完成」

ではありません。

右目と左目。

 

そして、

その両方を使って脳がどう見ているのか。

そこまで考えて初めて、

「本当に楽に見えるメガネ」

になると考えています。

 

今回のお客様にも、専用検査から不等像視を確認し、

サイズレンズによる矯正を行いました。

 

これで少しでも、

 

夜の見え方が楽になる。
距離感がつかみやすくなる。
両目で自然に立体的に見られる。

 

そんなお手伝いができればと思います。


👓「視力は出ているのに、何となく見え方がおかしい」

そんな方は、一度両眼視の状態まで含めて確認してみる価値があります。

メガネの度数だけでは分からない

「見え方の原因」が隠れていることがあります。

 

めがねCraft

「見える」だけではなく、
「両目で自然に見る」ためのメガネをご提案します。

 

※今回の「94%・約6%」は、このお客様の検査結果に基づく数値です。

すべての方に当てはまるものではありません。